中国語を独学で成果を出す勉強方法の10項目を詳しく解説!オススメ教材も紹介

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中国語を独学で習得したい、もしくは、語学教室などで習い始める前に、まずは独学での習得にチャレンジしてみたいと思う方は多いのではないでしょうか?

この記事では、”ほぼ”独学による12ヶ月間の中国語学習でビジネスレベルにまで到達した筆者(中国滞在歴10年以上、HSK6級)が、独学を成功させるために必要なこと・注意すべきポイントについて解説していきます。

また、最近は語学学習向けのアプリなども充実しているので、「これは便利!」というアプリと、その使用方法もご紹介します。

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目次

1. 中国語は独学でも習得しやすい

中国語は日本人には勉強しやすい言語といえます。そう考える理由は以下の通りです。

1-1. 中国語は漢字を使う

ご存知の通り、中国語には漢字が使われているので、小さい頃から漢字に慣れ親しんでいる私たちは、中国語を勉強したことがなくても読める文字がもともと多いのです。

このことはやはり学習する上ではとてつもないメリットですね。日本人以外の方だと、会話には問題なくとも読み書きにおいて苦労している人はかなり多い印象があります。欧米人に漢字は”悪魔の文字”とも言われているほどです。

そして、漢字が読みやすいだけでなく、日本語の漢字と意味が一致しているものも少なくありません。(もちろん異なるものもあります)

1-2. 中国語は文法が簡単

中国語の文法は簡単で、学習しやすい特徴があります。その理由は以下の通り。

時制による動詞の活用変化や、名詞に性の分類がない

欧米系の言語には、現在形・過去形・現在完了形など動詞の活用変化があるもの、またひとつの単語において男性詞・女性詞・中性詞が存在しているなど、まるでパズルのような難しい文法を用いている言語も少なくありません。が、中国語にはそうしたものがないため単語は比較的覚えやすいと言えます。

ただし、欧米系言語ほど文法が厳格ではないため、感覚的な言語という印象が強く、理屈が明確でなければ理解しづらいという理論重視の方にとっては、もしかしたら厄介な言語かもしれません。

冠詞がない

英語の「a/an/the」といった冠詞が中国語にはないため、「ここではどれを使えばいいのか?」と悩むことがありません。

複雑な敬語が存在しない

中国語にも丁寧な言い方、表現というものは存在しますが、日本語にあるような謙譲語、丁寧語、尊敬語といった厳格な文法はなく、非常にシンプル。敬語は、とくに日本語においては時にまどろっこしくなりがちですが、中国語では相手への敬意を、短い言葉で簡単に表現することが可能です。

また、たとえば日本語で「またのご来店をお待ちしております」と言うには、文字にして18文字、音節の数も17個もあり長いですよね。

これが中国語の場合「欢迎再次光临」と6音節ですみますし、日本語の敬語と比較するとだいぶ短めの表現ですむことがわかりますよね。そして、「~してください」と言いたい場合は、文頭に「请」をつければOKです。

【文字数と音節】

<日本語>

「またのごらいてんをおまちしております。」(18文字)
ma / ta / no / go / ra / i / ten / wo / o / ma / chi / shi / te / o / ri / ma / su(17音節)

<中国語>

「欢迎再次光临」(6文字)
huan / ying / zai / ci / guang / lin(6音節)

1-3. 覚えやすい”ピンイン✕声調”というシステム

中国語における漢字一文字一文字の発音は、ピンイン(漢字の読み方をアルファベットなどで示した一種の発音記号)と”四声(4つの声調)”という抑揚の付け方をかけ合わせることで成り立っています。

また、この漢字はこの音”と決まっているため、発音を聴くとその音が「どの漢字か」が判別しやすいのも特徴です。

日本語には五十音があり、その並び替えで日本語の意味が作られています。が、中国語の場合、ピンイン表というものがあり、その音の中のどれかが漢字に当てはまります。

例)

ピンイン Dao ✕ 声調:第四声= Dào
という発音を聴いた場合は「到」「倒」「道」「盗」「稻」などのどれかが該当します。

当てはまる漢字がこれら候補の中のどれかは、その文字の前後や文脈などから判断できます。また、使っている漢字が日本語と同様の場合は、発音を聴いただけでどんな単語かまで想像しやすかったり、日本語での漢字と、その中国語発音を知っていれば、実践の会話でいきなり使用することが可能です。

例)

「不景气」(不景気)= Bù jǐng qì

このシステムのおかげで、中国語の単語は英単語よりも覚えやすい印象がありますし、勉強したことのない単語でも、漢字とそのピンイン・声調さえ知っていれば、口に出して相手にしっかり伝わるケースも少なくありません。

2. 中国語の難しさ、注意点

中国語独学2

日本人にとって学びやすい言語であると同時に、学ぶ大変さも同時に有しているのが中国語の不思議なところでもあります。

2-1. 発音がとにかく大変

日本人にとって、中国語の発音を習得することは大変です。その最大の特徴は”呼吸量や息の深さ”。日本語は口先を使うだけで話せてしまう、話すのにあまりエネルギーを必要としない言語であるのに対し、中国語はお腹からしっかり発声しないと発音しづらい言語です。

かつ、”四声(4つの声調)”が全ての文字にあるために、発音する一文字一文字すべてにおいて抑揚の付け方を正確にコントロールし続ける必要があります。

2-2. 語彙が豊富

ご存知の通り、中国は歴史が長いので、その分、語彙も豊富に存在します。HSK6級レベルでも把握すべきは5000単語と決して多言語と比べても多くはないものの、単語とは別に成語や慣用句が豊富に存在し、それぞれ単体で「成語辞典」「慣用句辞典」が作られるほどです。

そしてこれらは、単語以上に記憶するのに一苦労します。レベルが上がれば上がるほど、より多くの成語と慣用句を知っておく必要があるため、超上級を目指す段階にまでくると、この語彙の豊富さがハードルとなって立ちふさがってきます。

さらに、発展スピードの速さに伴い、新しい現代用語や技術用語も次々と加えられていくものの、辞書や教材がその速度に対応しきれていません。従って自分自身で、そうした表現を学習し続ける必要もあります。

2-3. 発音の個人差や地域差が大きい

一言で”中国語”といっても、いくつかの方言が存在します。北京語・広東語・上海語・福建語など、それぞれの地域が独自の音韻体系を持っているため、中国人同士にとっても違う地域の言語は外国語並みに異なる言語です。中国人同士ですらそのような認識なので、それを外国人がなんとか習得しようというのは、極めてハードルが高いと言えます。

地域差に限らず、中国語は話す人の年齢や性別、教育レベルや社会的地位なども発音に対して少なからず影響を与えています。

以前、近くにいた年配の女性がワァーワァーと何かを言っていても、全然聞き取れなかったことがありました。隣りにいた中国人の友人に彼女が何を言っているのかを尋ねたところ、一字一句同じことを言っているにもかかわらず、友人の言ったことは普通に聞き取れて、年配の女性が言っていることは全く聞き取れなかったのです。

筆者は過去に3ヶ月だけアメリカで生活していたことがありますが、そのときのことを思い返しても、中国語は英語よりもはるかに、そうした個々人による発音の差が大きい言語であることを感じています。

3. 中国語の具体的な勉強方法5ステップ

中国語独学3

独学を成功させるためにはまず、”学習方法を確立させる”必要があるので、ここでは具体的な学習方法と、そのステップについて解説します。

3-1. 発音をマスターする

3-1-1. まずは「声調(四声)」をマスターする。

声調とは、中国語の音節ひとつひとつで発生する「音程の上げ下げ」のことです。第一声から第四声まであり、「四声」ともいいます。これは1-3でも触れています。

中国語学習をはじめるとき、まず一番最初に習うのがこの「声調(四声)」です。四声を正確にコントロールし続けることは、中国語の発音上極めて重要で、これを間違うと意味が通じなかったり、通じないだけならまだしも違う意味になって変な誤解を受けるリスクすらあります。

音程をいかにコントロールするか”が肝要なのですが、この四声を制御しつづけることは、実は中国語の発音上、最もハードルが高いものなのです。

人によっては、日本語にはない中国語固有の難しい発音を克服すること以上に、習得しにくさを感じるかもしれません。逆に、音程の取り方がそもそも上手な人にとっては比較的習得が容易なものでもあります。

 

より細かい具体的な四声(声調)の練習方法に関しては、以下の記事をご参照ください。
四声(声調)の発音をマスターする!【音声・動画付】

3-1-2. 次に「ピンイン」の発音をマスターする

「ピンイン」とは、アルファベットを使った中国語の発音表記法です。日本語にとってのひらがなやカタカナのようなもので、漢字ひとつひとつの読み方のことをいいます。

この「ピンイン」という発音表記に、上記の「四声(声調)」を合わせて正確に発音できるように練習を積んでいきましょう。

ピンイン
漢字
nǐ hǎo
你好
zài jiàn
再见

「ピンイン」には母音が36個、子音が21個、この組み合わせにより約400の発音があります。(ピンイン表はこちら

ピンイン表 音節表

中国語のピンインの発音は、たしかに日本人にとって難しいモノもありますが、7割はローマ字読みできてしまうため、残りの3割での練習が必要なだけです。

中国語の発音は難しいけど、全てが難しい訳では無い、むしろ難しいものは少数派ということは覚えておいてください。より細かい具体的なピンインの練習方法に関しては以下のページをご参照ください。

3-1-3. 発音練習の際に心がけたいこと

・毎日口から発する

中国語学習をはじめたばかりの頃の発音練習では、毎日しっかり声に出して練習することをオススメします。というのも、脳内のイメージと実際に口から出す音には乖離があることがほとんどのため、声に出していなければ、”やっているつもり”という域を出られないリスクが高くなります。

・大きな声と大きな口

中国語の発音練習をするときは、音一つ一つをおおげさなくらいに発してちょうどいいくらいです。

・自分の発音を録音して聴くクセをつける

スマホの録音機能やICレコーダーを使って、ご自身の発音練習の模様を録音してみましょう。鏡をみてようやく人からみた自分の姿を認識できることと同様に、発音も、自分の声を録音して聴いてみて、はじめて人から自分の声がどう聞こえるのかを知ることができます。

発音練習をはじめて間もないうちは、ご自身の声を聴いていてイヤ~な気持ちになるかもしれません。自分の耳で聞いている自分の声と、録音して聞く自分の声は違って聞こえ、違和感を覚えるためです。

ですが、毎日続けるうちに慣れて気にならなくなりますし、気にならなくなったということは、実は上達している証でもあります。従って、聴くのに慣れることをまず目指して、練習を積んでいきましょう。

3-2. リーディング/リスニング

発音の基礎固めができてきたら、いよいよ四つの技能(読む・聞く・話す・書く)の総合力を身につけるトレーニングを始めましょう。

「読む・聞く・話す・書く」の四つの技能を最も効率よく習得するための練習方法はシャドーイングです。

  1. リーディングの教材
  2. リスニングの教材
  3. スピーキングの教材
  4. ライティングの教材

それぞれ買って、それぞれ勉強していこうという方もいるかもしれませんが、リーディングやリスニングの練習は、総合教材のテキスト文をシャドーイングすれば十分に身につけることができます。

実際に私もリーディング特化型やリスニング特化型の教材を使って学習したことはありません。

テキストを読む方法は

  • 音読
  • リピーティング
  • シャドーイング

とありますが、最も多用することになるのはシャドーイングです。

■音読

教材の音声に頼ることなく、自立した状態で文章を口に出して読みます。

■リピーティング

教材などのお手本の音声を一度聴いた後に一時停止し、その後に発音します。
単語やフレーズの練習に有効です。長い一文を読むときには、前半のカンマ部分で一時停止してから読みます。そして前半を読み終えたら、文の後半を読み始めます。

■シャドーイング

音声を聞きながら、0.3~0.5秒遅れてそれを真似て声に出す方法です。この方法を通してまず「聞く」と「話す」力が鍛えられます。教材を聞きながら発音するので、真似しやすいですよね。

HSK2級 勉強 シャドーイングまた、人間は聞いている言葉を脳内で文に置換することができます。このため、聞いている音声が自然と文章となり、「読む」力も、鍛えることにもつながるのです。また、「話す」はアウトプット作業ですので、同じアウトプット作業である「書く」力の向上にもつながるわけです。

また、繰り返しこなしていくことで語順感覚が自然と身についたり、頻出単語を自然とおぼえることもできるでしょう。1つの文を数百回と繰り返し読むことができれば、ひとつの長文(数百字程度)そのものを暗記してしまうことも可能です。

多忙で時間がないときでも、最も優先して取り組むべき練習がこのシャドーイングです。

シャドーイングは以下の5つのステップで進めてください。

ステップ1 教材を見ないでリスニングする

この段階ではまだシャドーイングはせずに、現段階でどれくらい聴き取れるのかを確認してみてください。回数は2~3回で十分です。

ステップ2 内容・意味・構文を理解・把握する

まず本文をざっと読んでから内容を理解してください。その後で、意味や読み方がわからない単語や成語・慣用句、語順・構文を把握し、事前に調べてあいまいな箇所をクリアにし、テキストの文法解説も読んでおいて、内容が完全に把握できた状態を作ります。

重要な表現にはマーカーを引いておいたり、読みやすさを増すために区切りにはスラッシュを入れておいたり、強調する箇所には「・」などを入れておいてもいいでしょう。

ステップ3 ピンインを見ながらシャドーイング

「教材のピンインを見ながらネイティブ発音の音源を聴き、0.3秒ほど遅れてからその音を発音する」という作業を最低10回は繰り返しましょう。あくまで「最低でも」10回であり、正しい発音で読むことを目標にするのであれば回数に上限はなく、読めば読むほど高い効果が望めます。

ステップ4 中国語(漢字)だけを見ながらシャドーイング

ピンインと声調記号を隠し、教材の漢字だけを見ながらネイティブの音を聴き、聞こえた通りにシャドーイングします。

ステップ5 何も見ないでシャドーイング

テキストをみることなく、ネイティブの音だけを聴いてシャドーイングします。最初はうまく読めないこともありますが、回数を重ねていくと口の動きがスムーズになっていきます。さらに慣れてきたら感情移入しながら、誰かに読み聞かせるように口に出してみましょう。

もっと慣れてきたら、再生速度を1.2倍速、1.5倍速など早めていきましょう。倍速再生でもちゃんと苦もなくシャドーイングできる状態を目指していきましょう。

シャドーイングのより具体的な実践方法はこちら
『シャドーイングで語学をマスターする方法』

非常に学習効果の高いシャドーイングですが、取り組む上での注意点もいくつかあります。

・中級くらいから、ピンインと声調記号を頼らずとも読めるようにする

中級も中盤に差し掛かる頃には、テキストにふられているピンインと声調記号を当てにすることなく音読できる状態を作れるように意識しましょう。

・教材音声を頼らずとも、自立した音読でも正確な発音で読めるようにする

教材の音声をシャドーイングすることは、補助輪をつけながら自転車を漕いでいるのと同じです。補助輪はいずれ取らなければなりませんよね。

ですから、シャドーイングでネイティブの発音をマネしながら感覚を掴んでいただきつつも、最終的には”補助輪”を取って、自分ひとりで素読・音読しても正確に読めるように練習を積んでいってください。

・無理して教材音声のスピードについていこうとしない

教材の音声が今の自分には速すぎると感じる場合は、再生速度をもっと遅めにしてください。0.8倍速や0.7倍速など。

無理して教材の速度に合わせて練習しようとすると、スピードばかり重視し、声調やピンインがあいまいにしか出せないなど、却って発音スキルの定着が遠くなります。急がば回れの精神でこなしていきましょう。

ですから、シャドーイングをするためには再生速度を変えられるスマホアプリかICレコーダーをお使いください。

ミニコラム-「シャドーイングが先か、音読が先か」

英語の学習法などをみると「まずは音読から」と書いてあるものを見かけます。そしてフルーエント式では「まずはシャドーイング」としています。

どちらがいいのか?結論から言うと、これは「その人の音感次第・発音の精度次第」ということになります。そもそも音感がいい、発音が既に上級という方は、音読からスタートした方がスムーズに学習をすすめていくことが出来るかもしれません。

音読からスタートする利点は、”シャドーイングをスムーズにこなすための下準備を万端にできる”ことです。

シャドーイングのクオリティの高さは、すなわち学習クオリティの高さにつながるといっても過言ではありません。同じ1回のシャドーイングでも、リスニングやスピーキングに対して更に高い成果につながります。

フルーエント式が「シャドーイングから」としているのは、中国語の難しい発音は”マネしながら感覚を掴んでいく、感覚を掴んでから徐々に教材音声という補助輪を取っていく”という考えだからです。

ですから、どっちがいいのだろう?と疑問に思った際は、自分自身の現状での発音レベルを考慮した上で選択しましょう。

3-3. 文法理解/単文暗記(ライティング力の鍛え方)

文法を理解して身につけるには

  1. 総合教材の文法解説を読んで理解する
  2. 文法専門の参考書を最低一冊は持っておいて辞書のように使う
  3. 単文暗記を通して語順感覚を身につける

がオススメです。

・総合教材の文法解説を読んで理解する

これは特別に説明する必要はないでしょう。

・文法専門の参考書を最低一冊は持っておいて辞書のように使う

中国語はかなり感覚的な言語なので、総合教材の文法解説だけを読んでいても今ひとつわからない、理解しきれない表現の仕方に触れることも多いように感じます。

それを補う意味で、文法解説を専門に扱っている参考書を1冊でいいので持っておいて、困ったときに辞書代わりに使うようオススメします。

具体的なオススメ参考書は上述の「教材選び」の項目をご参照ください。

・単文暗記を通して語順感覚を身につける

中国語の単文教材を使ってシャドーイングやリピーティングを繰り返していきながら単文や単語などの表現を覚えていくと、自然と文法のルールが身についていきます。

具体的なオススメの単文教材は上述の「教材選び」の項目をご参照ください。

【中国語の文法とは?】
ゼロから中国語を学ぶ初心者にオススメ!文法攻略のポイント
『ゼロから中国語の文法をマスターする!重要文法18項目』

【ライティング力の基礎の作り方】

上述の通りに文法を学んでいったら、今度はそれを応用して基礎作文力を固めていくための方法をご紹介します。

①1つの文法項目を扱った1つの例文を完璧に覚える

短期間で文法をマスターする効果的な勉強方法は、「1文法1例文」を100%完璧に覚えること。まず初心者向けの単文教材を選びます。

以下のように、教材には1つの文法ルールのページに、例文がいくつか掲載されています。

例文を1つだけ絞り、印をつけて「1文法で1つの例文のみ完璧に暗記」します。複数の例文を、限られた時間で全て暗記するのは厳しいもの。残りは潔く捨ててしまいましょう。

完璧な暗記とは日本語を見ただけで、その文章をパッと中国語で言えて書くことができるレベル。同時に、音声を聞きながらシャドーイングをして発音も完璧にすると、会話力もアップします。こうした練習方法をクイックレスポンスといいます。

②例文はシャドーイング/リピーティングで暗記する

例文を完璧に暗記するための勉強方法は、シャドーイング/リピーティングが効果的。暗記する例文を1つ選んだら、音声を聞いてマネをする練習を繰り返します。その後、日本語・中国語それぞれ覚えられているかテストして、この暗記法が定着しているか確認してみてください。

このように、簡単な例文(単文)のシャドーイング/リピーティング練習を繰り返すと、次第に文法パターンに慣れていきます。同時に、先ほど書いたように中国語の文法ルールが体に染み込んでくるので、自然と中国語の文法まで攻略できてしまう効果があります。

③ 暗記した例文の単語を入れ替える

1つの例文を完璧に暗記できたら、次は例文の単語を入れ替える練習に入ります。

例えば、「我是日本人(私は日本人です)」という例文を暗記した場合は、「私」や「日本人」の単語を別の言葉で言い替えてみます。

「我是学生。(私は学生です)」
「他是中文老师。(彼は中国語の先生です)」
「这是我的书。(これは私の本です)」

といった感じです。

さらに、それらの例文を声に出して練習し、紙に書いてみたりします。このように、1つパターンを覚えたら応用を取り入れていくと中国語の文法が定着するのです。

④ 中国語文法の勉強は「語順」を覚えるとラクになる

文法の攻略は、基本文型の語順を覚えることが近道です。

中国語の文法を覚えたいなら、まずは基本「主語(誰が)+述語(どうする)+目的語(何を)」の順番に慣れましょう!パターンを知るだけで自然と中国語文法が身につくので、学習がグンとラクになりますし、即興で文を作れるようにもなります。

語順が大切な理由は下記の記事で分かりやすく解説していますのでご覧ください。

「語順」を理解することが中国語マスターの近道!
『中国語文法を勉強するなら|語順を理解することが重要!発音付』

3-4. 単語学習

中国語に限らず、どの言語でも同様ですが、マスターするためのポイントのひとつは「単語をたくさん覚えること」です。

知らない単語があると、当然ながら中国語を聞きとることができません。逆に、中国人が話す単語さえ分かれば、文法が分からなくても何となく内容を理解できます。

多くの中国語単語を暗記して語彙力を身につけると、リーディング力が向上するのは当たり前ですが、自然とリスニング力もアップし、さらにスピーキング力やライティング力のアップにも直結していきます。また、オススメしている単語の学習法は『原則、1つの中国語単語に対し、1つの日本語訳を覚えること』です。

一般的に、単語教材には1つの単語に対して、複数の日本語の意味が掲載されています。これが単語の暗記で「多くの意味を覚えて使いこなせるようにならなければ…」と単語嫌いにつながる原因となっています。

ですから、1つの単語に複数の日本語の意味が掲載されている場合は、まず「意味をひとつ」選んで、それに絞って完璧に暗記するよう心がけてください。これが単語を効率よく身に着けていくコツです。

そして、単語の暗記もシャドーイング/リピーティングで進めましょう。

単語を見ながら

  • 意味を把握しながら
  • 発音を聴きながら
  • 漢字を見て書きながら

覚えていくのが理想です。

ですが、日本人は漢字には既にある程度慣れ親しんでいるので、手書きしてまで覚えるのは初めて目にする簡体字に限定して大丈夫です。

(※写真)

中国語単語の覚え方とは?まずは覚えられない理由を知って、効率的に学ぼう!
『効率的な中国語単語の覚え方|覚えられないのには理由がある!』

単文暗記も単語暗記も、暗記モノはとにかく繰り返すことが大事です。机に向かうことなく出来ることなので、スキマ時間を有効活用して繰り返し覚えていきましょう!

3-5. 理解のための学習時間と練習時間を明確に分ける

語学学習には「理解のための勉強」と「身につけるための練習」があるというお話しをしました。シャドーイングのステップ2「内容・意味・構文を理解・把握する」は学習の時間。その後のステップや音読が「身につけるための練習」の時間です。

私はこれを分けてやっていたためか、非常に効率よく学習を進めていくことが出来ました。退勤後の夜は学習のための時間で、調べごとや文法的なことを理解することに専念し、一晩寝かせた翌朝から読み込む作業・練習をするようにしていました。

この、一晩熟成させるという段階を入れることが良かったのか、単語などの定着が非常によく、かなりスピーディに、スムーズに学習を進捗させていくことが出来ていました。

「エビングハウスの忘却曲線」というのがあります。この理論の詳細はここでは触れませんが、その理論によると、1回目の復習をする最適なタイミングは「24時間以内」だそうです。

私の当時の学習サイクルだと、最初に触れてから睡眠を挟んで10時間ほどで1回目の復習に取り組んでいたので、非常に定着が良かったのだと思います。

4. やりがちだけど効果のない学習方法

具体的な教材や学習方法を決める前に、日本人にありがちな語学学習における間違いや勘違いをおさらいしておきましょう。

効果のある学習方法を知る前に、効果のないことを明確にし、そうならないよう工夫すれば自ずから成果の出やすい学習方法に辿り着きやすくなります。

4-1. 教室に通っている時間しか勉強していない

語学学習は”学習”ではありつつも、意味や構造・仕組みを理解しているだけでは足らず、理解していることを使えるようになるための”練習”が不可欠。

ですから、スポーツや楽器の練習と同様に、学んだ理論を身体を使った訓練を通して実践で使える状態にする必要があります。従って、教室に通うわずかな時間だけしか学習に触れていなければ、身につけることは叶いません。

4-2. 得意なことに偏る

例えば、英語を学ぶ日本人学習者の中には、「読み書きはできるけど、聴く・話すはちょっと…」という方が多いですよね。

読み書きは練習要素は少なく、学習要素が強いものなので、日本人は基本的に得意です。人を絡めずにコツコツ寡黙に取り組めるので。ですから、読み書きだけで済ます方は多いですし、声に出して読むにせよ、なんとなく文字を追うだけなど、思考停止した状態で読みがちです。

それでも勉強した気にはなります。実際に”勉強”はしているので、そう感じるのは無理もないことかもしれません。ただし、成果には繋がりづらいでしょう。

4-3. 頭と身体を同時に使わない

正しい発音をしっかり身につけ、声に出してシャドーイングしていくことを推奨していますが、そうして読み込むときに、ついつい作業っぽく、思考停止した状態で読んでしまいがちです。

思考停止せずに、意味や語順・構文を意識しながら読むことがシャドーイングのクオリティを上げることになり、それがリスニング力の向上にも直結していきます。

4-4. テレビやラジオなどの、いわゆる聴き流し

発音がしっかりしていない状態だったり、語彙が不足している状態でテレビやラジオを聴き流ししても、学習効果はほぼ得られません。そうやっていると「耳が慣れる」からいいというコメントをみかけますが、意味がわかっていないものを聴き続けても、その速度についていけるようにはなりません。

発音がしっかりしていて語彙が備わっている状態で聴くのであれば、耳は慣れていくでしょう。同じ聴き流しをするのであれば、過去に学習した教材、やり込んだ教材などにしましょう。そうすれば効果を期待できます。

4-5. 教材をコロコロ変える

これは<「第3章 独学を成功させるために – 2. 学習方法の確立」で触れたことの繰り返しになりますが、語学学習は、学習方法を間違えたり、使用教材をコロコロ変えたりしていると、”永遠の初級者”ループから抜け出せなくなりがちです。

語学習得は基本的には年単位の期間が必要な長期戦なので、短期で効率よく習得することを目指す人よりも、堅実にコツコツ疑わずに進捗できる人の方が確実に成果が上がりやすいと言えます。

4-6. ネイティブの言い回しを重視している/高度な作文を作ろうとする

ライティングの基礎力の作り方は、上述の通り『暗記した例文の単語を入れ替える』です。従って、入門編から早速自作の作文練習をすることはあまり推奨できません。

というのも、基礎的な文法理解がまだで、かつ語順感覚も身についていない段階から作文練習をし始めると、大抵は”日本語の直訳”になりがちです。そうして作られた文は、我々外国人学習者の目から見てもおかしな文に感じられがちです。

また、「ネイティブはこう言う」というネイティブ的な自然な言い回しを重要視される方も見受けられますが、そうした言い回しは上級レベルから気にすべきことです。

上級レベルに入るまでは、どのような表現を使おうと”伝えたいことを確実に伝えきること”が重要なので、当面は”伝えたいことを確実に伝えきる”のに必要な『暗記した例文の単語を入れ替えて』作文練習を積んでいきましょう。

5. 中国語の完全独学はリスクが高い

中国語をプロに頼らずひとりで学習し続けた場合、以下のようなリスクが潜んでいます。

5-1. 発音練習リスク

外国語語学を独学で習得していく上で最大のリスクは「正しい発音の習得」。というのも、人間にとって自分が発している音の正確さを、自分自身で判別しきることはが難しいからです。

カラオケなどでも、自分では正しく聴いた通りに歌っているつもりでも、それを聴いている第三者にとって、プロを目指せるほど正確な音程やリズムで歌えている人というのはかなり限られているはずですよね。

語学の発音練習においても、それとは全く同じことが言えます。自分では聞こえた通りに正しく発音をしているつもりかもしれませんが、ある程度のレベル以上になるまでは、たいていどこかを間違えています。

にもかかわらず、間違っていることに気づかないまま勉強を進めて行ってしまう一番の弊害は、リスニング力が伸びにくくなり、どれだけやっても全く成果に繋がらない可能性が高くなることです。

自分の発音が相手に通じないことはもちろん弊害のひとつですが、似ている発音の微妙な違いを言い分けられなければ、リスニングの際にも微妙な違いを聴きとることができなくなります。

5-2. 間違った学習方法に偏るリスク

語学学習は、文法などの理論を理解しただけでは足りず、その理解した内容を使えるようにするための練習が不可欠です。

”学習”という言葉を使えど、語学学習においてやるべきことは、スポーツや楽器の練習と同じ。「学習+練習」という組み合わせで、ようやく語学学習が成り立ちます。

ですが、その練習にもキチンとしたやり方が存在しますし、学習と練習に費やす時間の比率は2:8や3:7くらいになります。

独学で学習を進める場合、このやり方の部分を、多くのケースでは間違えてしまいがちですし、そもそも練習を想定していない方も多いです。そして一人で行う独学の場合、効果が出やすい方法ではなく以上に、どうしてもラクな方法に流れがち。

ラクな方法とは、日本人の場合は一般的に、読み書きを中心とする方法。この方法は文字を視覚的に認識する傾向があり、発音練習にあまり時間を割かない、そもそも口から言葉を発する練習をしないことを指しています。

5–3. 続けられないリスク

外国語学習はモチベーションの維持がカギ。一人で取り組む際は、ここが最大の難関といっても過言ではありません。その理由のひとつは、語学学習は年単位の長期戦であること。もうひとつは、上達の実感が湧きづらいことです。

新しい言語を学び始めると、最初のうちは、今まで読めなかった新しい文字がを自分ひとりで読めるようになったり、挨拶が相手に通じたりと楽しいと感じるシーンが多くあり、良いスタートを切れることが多いかもしれません。

しかし、初級の段階を過ぎると、段々と知識が増え、理解できる内容がは増えているにもかかわらず、ネイティブの話となると全く聞き取れない、という中級者の状態が長らく続いていきます。そのため、自分が日々続けている勉強にも自信が持てなくなり、疑心暗鬼になりがち。

この段階でモチベーションの維持が難しくなっていきます。

6. 中国語を独学で成功させる5つのポイント

6-1. 発音練習は第三者によるフィードバックが不可欠

中国語学習は、せめて初期の発音練習だけでも第三者からフィードバックを得るようにして、発音の完全独学だけは避けていただいた方が賢明といえるでしょう。

筆者は最初の3ヶ月だけは漢語学校で中国語を教わり、その後は全て独学での習得でしたが、独学での習得が成功したのは、初期の発音練習において先生からのフィードバックを得ながら取り組めていたからだと断言できます。

私は耳の良さには自信があります。ですが、どんなに耳が良くて音感が身についていても、それでも自分自身では気づかないことがたくさんあると当時、思い知りました。

「富士山 fù shì shān」の「士 」が「shù」にしか聞こえないと何度も直されたり、「ji」が「di」にしか聞こえないと何十回も繰り返させられたことを今でもよく覚えています。私自身は聴こえた通りに発音していたつもりだったのですが。

ですから、初期の発音練習だけでも、教室やカリキュラムを受講したり、プロに教わりましょう。

6-2. 学習方法の確立

語学学習は、学習方法を間違えたり、使用教材をコロコロ変えたりしていると、”永遠の初級者”ループから抜け出せなくなりがちです。

ですから、最初に”この教材を使って、こういう方法でこなしていく”という学習方法の確立が極めて重要となります。そして一度決めたら、原則としてその方法を変えないでください。

学習方法を確立するための参考材料として「HSK・中国語検定 最強の学習法」
を読んでみることをオススメします。

フルーエント中国語学院・学長三宅裕之が自らの体験の元、最強の学習法を余すところなくお伝えしています。ゼロから始める学習法を知りたい方や、長いこと学習をしていても伸び悩んでいる方も、この本を読めば「自分にもやれるかも」とモチベーションが上がることでしょう。

効率よく学習を進めていくコツが満載の一冊です。

学習期間1年でビジネスレベルに達することが出来た筆者が最終的に辿り着いた学習方法と、三宅学長が推奨している効率的な学習方法はやるべきことが基本的に一致しています。

語学の学習方法はいろいろありますが、短期間で身につけたいのであればこちらに書かれている効率よく学習を進めていくコツをぜひ参考にしてください。
一番オススメの方法と言えます。

6-3. モチベーションづくり

6-3-1. なりたい姿を描く

学習を通して得たい姿を明確にし、覚悟を決めましょう。

転職を成功させたい、給料をアップさせたい、職の可能性を広げたい、日中カップルの人なら、相手の母国語でもコミュニケーションを取れるようになって不利益なことを減らしたいなど、こうしたことを明確にイメージしておきましょう。

また、次の9つの項目について、どんなことが実現できているのかをイメージし、ノートに書いてみましょう。

★★(既存記事の写真を使用. 12-2)

そして、最初になりたい姿を描いてみたら、時折アップデートしていきましょう。描きっぱなしにせず、定期的に見直すことでモチベーションが喚起されやすくなります。

私の場合は、学習をはじめる前は中国語はほぼゼロレベルだったので、中国で就ける仕事がかなり限られていました。ですから、海外で仕事をしている人間らしく、その地の母国語を身に着けて職の可能性を広げることと、転職を成功させたいという気持ちで学習をスタートさせました。

また、「もしものときのために中国語を教えることが出来るようにもしておこう」ということも手に職をつけておくことも意識していました。しながら、ですので、当時の学習の過程で気づいたことは、いずれシェアできるように都度メモ書きをしていました。

6-3-2. これだけは避けたい姿を描く

「こうはなりたくない!」という姿も明確にイメージしておきましょう。なりたい姿をイメージするよりも、日本人の場合、なりたくない姿をハッキリさせる方が学習モチベーションに変換しやすいかもしれません。

私の場合は、わざわざ日本でのキャリアに見切りをつけて中国にまでやってきたというのに、その現地の言語を使えないというのは恥ずかしい…という意識が強かったので、その意識をそのまま学習モチベーションに変換させました。

6-3-3. 強制力を働かせる

習慣化できるというのは能力ではなく、覚悟が決まっているかどうかで成否が決まるものです。その覚悟の証として「やらざるを得ない状況に自分を追い込む」ことが可能になります。

決め方・強制力の作り方としては
・○○を達成するまでは好きな△△は控える
・帰宅したら一通り学習し終わるまでメシ抜き
・学習の報告先をつくって催促してもらう

などが例として挙げられます。

ちなみに「SNS上で友人に宣言する」という方法に関しては留意点があります。”宣言した”だけでやった気になってしまい、結局行動を継続しないリスクが高いから。もし宣言するなら宣言するだけでなく、学習した内容の報告とセットで行うようにしてください。

6-3-4. 悔しい体験を積む

言いたいことを言え発せられなかったり、大事なことを聴き取ることができなかったなど、そうした悔しい経験もモチベーションに変換していきましょう!

ずっとネガティブ体験だけに頼り続けるのも無理があるものの、ポジティブな動機よりもパワーが強いため、開始時や再開時、停滞期には大いに多いに活用することが出来ます。

6-3-5. 中国語試験を活用する

HSKや中国語検定の試験に級を問わずに申し込んでしまいましょう。試験に申し込んだ以上、「合格しなければ!」と勉強にも熱が入ります。

モチベーションが落ち気味のときにこそ申し込むようにしてみましょう。HSKや中国語検定で既に自身のレベルに見合った試験を受けて合格済みの方は、TECC(中国語コミュニケーション能力検定)BCT(ビジネス中国語検定)を気分転換的に受けてみてもいいでしょう。

6-4. ビジネスレベル習得に必要な学習時間と学習期間

必要な時間数これは参考資料によって差があり、600時間やというところもあれば、1000時間というところもあれば、なかには2000時間というところもあります。しかも、同じ時間でも、語学学習には一定期間、集中してこなした方が成果が上がりやすい側面があります。

同じ1000時間でも、1年かけた1000時間と3年かけた1000時間では、1年かけた1000時間の方が習得できているモノが多いといえます。

それだけでなく、個人差もかなり出ます。音感の差や言語センス、漢字の得意不得意、純粋に好きなのか、努力量を必要とするのか、などなど…

私の場合、1日3時間ペースでの学習を週6日間、単純計算だと1週間で18~20時間ほどの学習を約1年間続けていました。一年間で合計ざっくり900~1000時間くらいは学習していた計算になります。そうした経験から、個人としてはビジネスレベル習得には最低でも約1000時間の学習時間は必要といえます。

6-5. 学習時間を確保するために

6-5-1. 自己理解

語学学習は年単位の時間を要するの長期戦のため、自分が最も習慣化しやすい方法や仕組みを構築していく必要があります。そのためには、自分が動きやすい時間帯をは学習にあて確保したり、怠けやすいパターンを知って、それを避けるための工夫をしなければなりません。

よく”勉強するのは朝がいい”とはいいますが、すべての人が朝は調子がいい、集中力を発揮しやすいということはありません。

今はいろいろ習慣化を成功させるための情報が本やネット上に溢れています。けれどが、どの方法でもうまくいく人、うまくいかない人はいるので、色々試してみて自分にはどんなやり方が最も合っているのかを模索して、うまく周りはじめるまで、試行錯誤を繰り返してください。

6-5-2. スケジューリング

「時間があるときにやろう」という発想だと、学習の優先順位は下がっていきがちなってしまうので、学習はなかなかが習慣化していきません。優先順位を高く保ち続けるためには、やはり事前にスケジューリングしましょう。学校でいうところの時間割ですね。

時間割をつくって、その日の何時から何時までは学習!と決めたら、そこにはクライアントや友だちとのアポと同様に扱って、他の予定を入れないようにしましょう。時間割を作るのはもちろんいいですが、毎日の学習時間を固定化させられればそれがベストです。

私は毎朝5時30分に起床し、6時までの30分で出勤準備をし、7時30分に出発するまでの1時間半は勉強時間ということにして、毎日学習時間を固定化していました。時間を固定化する最大のメリットは、学習の習慣化が容易になる、ということです。かつ、毎日自動的に近い形で机に向かうので、努力している感覚が全く無く取り組むことができました。

より容易に時間を固定化するには、「毎日必ずやっていることの直後にやる」ようにするのもコツです。朝ごはんの直後や、歯磨きの直後など、毎日必ずやることの直後にこなすようにする、ということですね。語学学習は年単位の長期戦なので、いか如何に努力感覚をなくしていくか、ということも非常に重要なポイントになります。

「6時~7時」のような正確な時間割をつくるのが難しい場合は、大まかに「朝20分、昼20分、夜20分」のようなスキマ時間をみつけて取り組むようなスケジューリングでも大丈夫です。

スケジューリングはあくまでも、そこに意識を向けるために作るものなので、このような大まかなスケジューリングでもいいでしょう。

6-5-3. 机に向かう時間とスキマ時間、・移動時間の活用

語学学習には、机に向かって取り組んだ方がいい学習・練習と、机に向かわずともこなせる学習・練習があります。以下は筆者の例です。

<机に向かって取り組んだ方がいい学習・練習>

  • 文章の理解(単語・文法・語順など)
  • 発音練習
  • 声に出しての音読/リピーティング/シャドーイング
  • ディクテーション

<机に向かわずともこなせる学習・練習>

  • 単語暗記
  • 単文暗記
  • エア・シャドーイング(声に出さない脳内シャドーイング)
  • 学習済み文章のリスニング

このように分けることも可能ですが、机に向かわずともこなせる学習・練習をうまく回していくための前提条件はやはり”発音がいいこと”となるので、やはり学習初期の段階では、発音練習を徹底的にこなしていきましょう。

自分にとって、机に向かわずともできる学習、逆にしっかりと机に向かわないと集中できない学習が何なのかを把握しておくことで、隙間時間を無駄なく、より有意義に活用できます。ぜひ一度ご自身を振り返ってみてください。

6-5-4. 学習内容(ToDo)のルーティング化

勉強をする時間を固定化することに加えて、その毎日どの時間帯にどんなことをこなしていくかまでを固定できると、やはり習慣化に成功しやすくなります。

<私の場合>

退勤後:机に向かっての学習の時間(教材テキストの単語・読み方・文法・語順などの理解)
翌朝:音読・シャドーイングなどの練習時間
お昼休み:音読・シャドーイングなどの練習時間
移動時間:単文暗記とエアー・クイックレスポンス
運動時間:小声でシャドーイング

このような形で、どんなときには何をするかを完全に決めていたので、いずれも容易に習慣化させることができました。

6-5-5. いつもやっていた何かを止める

新しく、1時間以上も学習に時間を確保するのはとなると、それまでの生活習慣を維持したままだと厳しいです。

従って、それまで当たり前にやってきたことの内、をなにかを止める必要が出てきます。

代表的なところだと
・SNSを見ている時間
・YouTubeを見ている時間
・友人や同僚との飲み

または、これまでの仕事のこなし方を見直すということも有効かもしれません。

私の場合は、会社の近くに引っ越して往復の通勤時間を大幅に短縮することで、学習時間の確保に成功しました。当時の勤務先は都心ではなく、郊外にあったからこそ家賃も安く済みました。故に成功した方法ではありますが。

7. 教材選び

教材を買うときにどのような基準で選んでいますか?もしかすると、単語暗記、音読練習など、学習内容ジャンルごとに教材を買い揃えている人が多いのではないでしょうか。

リスニングが苦手だからと「リスニング教材」を買ったり、
リーディングなら「リーディング向き教材」を買ったり、
何が良いのかよくわからないままにネットでの評価が高いからと買ってしまったり。

その結果、手元の教材がどんどん増えていき、量の多さに圧倒されることもあるかもしれません。のと、そのワケの分からなさに心が折れるという…。

「自分にはこれが足りない!」と、対処療法的に次々と新しい教材に手を出していくと、結局、広く浅い学習にしかならずに基礎が全く固まらない状態に陥りがちです。では、どういう基準で教材を選べばいいのかご紹介します。

参考書は以下の分野で各1冊ずつ選びましょう。

「発音」
「総合」
「単文」
「単語」
「検定対策」

こうした各分野教材の1冊の本を、何度も繰り返すことで、「理解している状態」から「身についている状態」「使える状態」を目指していきます。教材は「これ!」と決めたら、やり込んでいきましょう!

次に、これらの教材の具体的な使い方を説明します。まずこの5分野の教材を3段階に分け、それぞれの段階で目的別に必要な教材を使っていきます。

ステップ1 発音の基礎を作る
-使用教材 発音教材

ステップ2 「読む・聴く・話す・書く」をバランスよく鍛えていく
-使用教材 総合教材・単文教材・単語教材

ステップ3 検定試験を受ける
-使用教材 検定試験の過去問題集・模擬試験

7-1. 発音教材(初級)

発音教材は、文字通り「発音」を集中的に練習するための教材です。

日本人にとって中国語学習最初にして最大のハードルは「発音」なので、ここは集中的に練習を積んでいく必要があります。

中国語の発音には
・日本語には無い音がある
・日本語と的には同じ表記でも、違う音の漢字が存在する
・四つの声調を全ての文字・音節で全て正確にコントロールする必要がある
・日本語よりも圧倒的に、必要な呼吸量が圧倒的に多い

といった特徴があるため、かなりの難関です。

日本人は漢字に慣れ親しんでいるのでかなり有利な反面、発音に関しては不利とも言えるので、とくに集中的なトレーニングが必要ですといえるでしょう。

大人になってから外国語を学ぶ場合、子どものように「耳」を頼って、自然に生活を通して自然に習得していくのは困難です。ですから、日本語を使ったわかりやすい解説や、イメージしやすい説明、図や写真が充実している教材を選びましょう。

発音教材を選ぶときのポイントは以下の通りです。

1 発音の方法についてイメージしやすい解説がある
2 口の形や舌の位置を表す絵や写真がある
3 音声がついている(ダウンロードかCDは必須。動画があればベスト)

こうしたポイントを押さえている教材はこの教材です。

解説、図、写真、動画など、全て使って一つ一つの発音を解説しています。

こちらも上記発音のポイントをすべて押さえている教材です。

『見てマネ60』

HSK公認の、2ヶ月で効率よく発音をマスターできる教材です!中国語の勉強では、文法や発音の理屈の部分に関しては、学習経験のある日本人トレーナーにと、そして発音や表現のお手本としては、中国人トレーナーにの両方から学ぶのが一番効果的です。

この動画教材では、日本人トレーナーが口の動かし方のコツなどを日本語でわかりやすく解説しています。るので、その解説を元に、中国人トレーナーによる発音を実際に聴いて、そしてマネをしていきながら繰り返し練習して発音を身につけることができる教材。

価格(税込) 43,780円
販売サイト 商品を見る

7-2. 総合教材(入門~上級)

発音をある程度身につけたらステップ2に進み、総合教材を使い始めます。「読む・聴く・話す・書く」の全てを総合的に鍛えていくのに効果的な練習方法が、この「総合」教材を使ってのシャドーイング・リピーティングです。

総合教材を選ぶときのポイントは以下の通りです。

1 音声教材の音源つきである(ダウンロードかCD)
2 「会話文」だけでなく、「ある程度の長さの文」「1ページ分の長文」があるもの。
 ※入門レベルでは「会話文」だけでも大丈夫です。

音声付きが必須という理由のはわかると思いますが、「ある程度の長さの文」が必要なのはなぜでしょう?

「会話文」は2人以上の会話のやり取りのため、流れが切れがちです。しかし、流れを切らずにシャドーイングし続けることで中国語脳が出来上がっていくので、文の流れが頻繁に切れるとその脳が出来上がりづらくなってしまいます。

会話が苦手だから「会話教材」を選ぶ学習者は多いのですが、その選択が却って、会話を成立させるためのリスニング能力の向上の妨げになっているのかもしれません。

【入門】

入門編のベストセラーでもある本書。わかりやすく「発音」と「文法」を身につけることが出来ます。

中国の大学や多くの中国語教育機関で長く使われている、中国でも有名な入門向け教材です。

【初級】

発音・会話・文法の力を基礎からきちんと身につけられる内容です。

『新訳第3版 中国語会話301(上)』の下巻。

入門を済ませた方はこちらも。中国の大学や多くの中国語教育機関で長く使われている、中国でも有名な初級向け教材です。

【中級】

中国語検定3級レベルまで身につくとされています。

リスニング力向上のために作られた本書ですが、総合教材として使うことも出来ます。上級レベルまで対応しています。

【上級】

初級と中級で習った語彙・フレーズ・慣用句・文法を実践で使えるようにすることを目的としています。

150~500字程度の文を1つの課とし、60課ほどで構成されています。日常使用される語彙の9割を網羅していて、かつ文脈から単語を習得することができる効率の良い総合教材です。

7-3. 単文教材(初級~上級)

単文教材としては有名な本書。シリーズで、中級編・上級編も存在します。

こちらも一冊に例文600個とボリューム十分です。

この教材は単文以上に「動詞+目的語」や「形容詞+名詞」など、のセットでフレーズを覚えられる点のが特徴です。シリーズで、初中級編と中級編があり、各冊700フレーズが掲載されています。

7-4. 単語教材(入門~上級)


こちらは、1つの単語に対して、1つの意味と例文が掲載されている単語教材です。HSKは級ごとに覚えるべき単語が指定されているので、その基本単語をすべて覚えてしまいましょう。





中国語検定4級から準1級レベルまで、各1冊ずつ出版されています。こちらは1つの単語に対して、複数の意味と例文が掲載されていますが、全て覚える必要はなく、まずはなにか1つに絞って覚えるよう努めてください。

7-5. 検定試験の過去問題集・模擬試験

過去5年分の過去問題を掲載。リスニングセクションの問題文スクリプトは繰り返しシャドーイングをし、身体に覚えさせましょう。

※他の級は検索してみてください

解説では出題の狙いやポイント、正解に導くための手段が示されています。

※他の級は検索してみてください

7-6. 文法の参考書(入門~上級)

総合教材の文法解説を読んでも今ひとつ腑に落ちない、わからないときのために文法専門の解説書を1冊もっておくと非常に有用です。

☆初級~中検2級レベル

コンパクトにまとまっているにもかかわらず基本的なことは全て網羅されていて、かつ見やすいのが特徴。

☆入門~中級レベル

中国人ネイティブの林松涛先生による、ネイティブならではの言葉の感覚を見事に言語化した文法解説の一冊。

☆入門~上級レベル

豊富な例文と注目すべき文法ポイントの解説がわかりやすいのが特徴

教材選びに関しては、こちらの記事も参考にしてください。
中国語教材のおすすめ厳選23と効率的に使う方法

7-7. 中国語学習に欠かせないツール/アプリ

辞書アプリ

辞書にも紙の辞書・電子辞書・スマホアプリの辞書とありますが、オススメはスマホアプリの辞書です。

スマホアプリの辞書は「手書き入力」ができるので、ピンインがわからなくても見たままの字を書いて調べられるので非常にラクです。調べるのがラクなだけではなく、一つ一つの単語の発音音声を聴くこともできます。

私が学習していた頃はスマホアプリの辞書がなかったので、ハンディサイズの辞書を毎日持ち歩いていました。ただけでなく、ピンインがわからない漢字の意味を調べるときは、漢字の画数を数えて調べていたため、毎回毎回、物凄く時間がかかりました。手間だったことがありますね。

ちなみに現在、私は『中日・日中辞典(小学館)』のアプリ辞書を使用しています。

HSK公認単語トレーニングアプリ

HSKの過去問題集や参考書を出版しているSPRIXが提供しているアプリ。

HSKの級別に、その対象単語と例文を覚えることが出来るアプリです。

単語の発音音声を聴けるだけでなく、例文の音声も聴くことができるので、単語だけ聴いても今ひとつ応用できていない気がする人にとっては便利と感じるかもしれません。

Quizlet

単語学習アプリで、自分のためのオリジナル単語集を使って学習するのに向いているツールです
日本語、中国語の機械音声も再生が可能で、発音の精度も高いので、単語のみならず単文暗記の練習にも非常に有効です。

HiNative

語学を学習したい人同士が、母国語と興味のある言語を互いに教え合うアプリです。アプリと言うよりは質問掲示版という方が適切かもしれません。

使い方としては「○○語でこう言いたい時のこの表現はこれで合っていますか?」などととか書き込むと、母国語ユーザーが回答してくれます。

言葉の質問に限らず、その国の文化や時事問題に関して質問しても回答が返ってきますし、また、質問に対する答えは非常に素早く返ってきます。

百度

百度

中国の最大手検索ポータルサイト。中国に関する各種調べごとをするのもいいですし、記事内の文章をリーディング素材として読む詠むのもいいでしょう。他の勉強での使い方としては、自分が作った中国語文の中の、「動詞と名詞の組み合わせが合っているか」などを調べることにも使えます。

そうしたことを調べるときには、フレーズごとで検索をかけるか、一文まるごと検索にかけてみてくださいもいいでしょう。検索ヒットすればOK、検索ヒットしなければ「ネイティブはそういう言い方をしない」ということもわかるでしょう。

ICレコーダーなどのポータブルプレーヤー

中国語の発音練習をするためには、以下の3つの条件を備えている機材(ICレコーダーやMP3プレイヤー)を選んでください。

  1. 「ワンタッチリピート機能(逆スキップ再生)」がある
  2. 「録音機能」がある
  3. 「スピード調節機能」がある

ICレコーダーはオリンパス「ボイストレック」のVシリーズ などをオススメしています。

さらに、スマホではなく、語学学習専用につかう機材をご用意いただくことをオススメします。理由は、スマホには各種通知、動画、SNSなど気が散る要素がとても多いからです。学習中はスマホを別室に置いておくくらいがちょうどいいです。

Audipo他、音声再生アプリ

中国語ゼミスタッフや、トレーナーも愛用中。音声の速度は、0.5〜2倍速の間で細かく設定可能。自分のレベルに合わせて調整しながらシャドーイングできます。

苦手な部分を繰り返し練習できる「リピート再生機能」も便利!リピートしたい開始地点と終了地点を決めると、ワンタッチで何度も再生してくれます。

NHKゴガク 声調確認くん

NHKゴガク

NHKの語学講座による声調の特訓に特化したアプリ。NHKのテレビとラジオの中国語講座と連動していて、毎週番組の中で出てきたキーフレーズの発音と声調が確認できます。お手本の音声に合わせて、自分の声を録音すると、声の高さの軌跡が表示され、お手本と自分の発音の違いを声調の正確性を視覚的に確認することができるスグレモノ。

独学で学習している人の持つ「自分の発音・声調をチェックしてもらう機会がない」という悩みを解決してくれます。

NHK語学プレイヤー

音源の再生速度を調節できるプレーヤーアプリ。手持ちのリスニング用教材を「もうちょっとゆっくりした速度で聞きたい」「少しだけ巻き戻したい」「一部分だけ何度も繰り返して聞きたい」というとき便利に使えます。

8. 伸び悩んだときの対処

8-1. ディクテーション

ここからは、非常に根気の要る、かつ学習効果の高い練習方法であるディクテーションをご紹介します。
リスニングで伸び悩みを感じているときに試してみることをオススメします。

これは音声を聴きながら、その内容を一字一句漏らさずに全て書きとる、という方法。

この方法だと、同じ音源をとにかく繰り返し何回も聴くので、集中して聴く耳が出来てきます。その訓練を通して、それまで曖昧にしていた発音などを曖昧にしなくなっていく効果が期待できます。

【準備】

取り組む教材、あまりスピードが速すぎないものをご準備ください。背伸びせず、あくまでご自身のレベルにあったもので、かつスクリプトが入手可能なモノを選びましょう。

できれば手書きするために、白紙かノートもご準備ください。手書きをすることで、曖昧なままになっている簡体字・漢字を認識することが出来ます。

【ステップ】

次の8つのステップに沿って進めていきましょう。

  1. まずは2~3回、音声を聴いてみて内容を確認する
  2. 音声を再生し、文をひとつひとつ聴きながら、中国語で書き取っていく
  3. 音だけを頼りにし、不明な単語は辞書やネットで調べていく
  4. 書こうとした簡体字を忘れてしまっているときは復習する
  5. 書いた文がちゃんと意味を成しているのかを確認する
  6. どうしても聴き取れないところは聞こえたままのピンインと声調を描いておく
  7. スクリプトで答え合わせをする
  8. 音読して復習する

大体の音は聴き取れていて、基本的な内容はおおまかにはわかってはいるけど、もっと細かく聴き取れるようになりたいと思っている場合は、短い文章から是非トライしてみましょう!

ディクテーションは学習効果が高いですが、たいへん時間がかかるので、時間を決めて取り組むか、短い文章でトライしたらいいと加えておくとよいかもしれません。もしくは、単文教材でつかう予定のものをディクテーションに回してもいいかもしれません。

8-2. ドラマ・映画などで学習する

教材を使った学習は、効率よく学ぶ点ではいいものの、内容が少し実際的ではなかったり、表現が古く、もしくは堅かったりといったことが多いため、学んでいても面白くないと感じることもあると思います。

そうした場合は、ドラマや映画などからj分が使いそうなセリフを仕入れて覚えるようにすれば、楽しく学ぶこともできるでしょう。
学習に活かしたいのであれば、極力『現代劇』の鑑賞をオススメします。

中国ドラマや映画だと、衣装やセットが豪華絢爛な『時代劇』が人気ではありますが、そこで話されるセリフを現代の日常生活ではなかなか使いづらいと思われます。

8-3. リフレッシュする

語学学習は毎日コツコツこなしていく年単位の長期戦だからこそ、意図的に、かつ定期的にリフレッシュする時間、学習をおやすみする時間をつくることも大事です。

私が1日3時間の学習を毎日こなしていたときは、毎週日曜日をお休みとしていました。だからこそ、毎日長時間こなしていても長期間続けることができたのかもしれません。

伸び悩んでいるときにさらに追い込む道もありますが、時には息抜きも必要です。休むときの注意点は、「いつから再開する」と決めた上で休むことですね。でなければズルズルと休み続けてしまいがちですから。

9. 会話の練習方法

9-1. 会話力習得のプロセス

日本人にとっての語学学習というと即”ネイティブとの会話”という発想になりがちで、いきなりネイティブとの会話レッスンをはじめる方が多い印象があります。

ですが、語学習得の基本的プロセスは

① 理解(学習)の段階 文法や語順・構文や単語を理解し覚える段階(インプット)
 ↓
② 練習 学んだことを使えるように身体に馴染ませる段階(インプットしながらアウトプット)
 ↓
③ 実践 練習してきたことを状況に応じて実践する(アウトプット)

という流れです。

この「1~3」のなかで、「3」は必ず相手が必要になりますが、「1」と「2」は基本的に自分ひとりでこなしていくものです。

にもかかわらず、「1」の後に「2」の練習のプロセスを飛ばしていきなり「3」をはじめてしまう方が後を絶ちません。

「2」のプロセスを飛ばした場合、せっかくのネイティブとの会話レッスンが無駄になりがちなので、その費用と時間を最大限に活かすためには「2」の練習にしっかり取り組んでいただくことを推奨します。

それでは続けて、会話力をつけていくための具体的な練習方法について触れていきます。

9-2. リスニング力の鍛え方

リスニング力を養うための最も効果的な練習方法は「シャドーイング」です。教材の音声を聴いて、その音声を聴いた0.5秒くらい遅れてから同じように教材音声のマネをしながら発音していく行為です。

この「シャドーイング」をすることで、スピーキング力も同時に養うことが期待できます。まさに一石二鳥のこの練習方法をやらない理由はありません。

9-3. スピーキング力の鍛え方

中国語での会話力を向上させていくのに必要なことは、最初はとにかくインプットを増やすこと、暗記した単文・単語を口から反応速く発する「クイックレスポンス」という練習を積むことです。

その「クイックレスポンス」は以下のように練習してください。

  1. 単文教材や総合教材を通して、基本構文をそのまま覚えて、そのまま口から発する
  2. 状況に応じて、覚えた基本構文の単語(動詞や目的語、時間詞など)を入れ替える

これはひとりでも出来る練習方法です。単語暗記と同じで、スキマ時間を活用した方が取り組みやすい学習方法なので、電車やバスで移動中に脳内スピーキングしながら鍛えていきましょう。

9-4. 自分が話す内容を覚えておく(5行日記)

リスニングに関しては、多種多様な人の話を聴き取る必要があるため、多くのジャンルの語彙や表現に通じている必要があります。

それに対して、スピーキングに関しては、あくまでも自分が関心を持っているジャンルや生活と直接関係していることさえ話すことができれば十分ですから、話すことが出来る内容を絞って覚えていくことが可能です。

自分の日記を中国語で書いている方も多いでしょう。ですが、せっかく書いているにもかかわらず、自由な書式で書いていると実際の会話に応用しづらい、覚えにくいと感じることは多くないでしょうか?
ですから、ここでは3行から5行の日記で、日常会話に応用しやすい書き方をご紹介します。他の記事でもご紹介している方法です。

【3行~5行日記の書式】

  1. 出来事:私は~~でした。(一文)
  2. 感想:私は~~して、〇〇だった。(一文~二文)
  3. 質問:あなたは□□ですか?(一文)
  4. 回答:△△でした。××だと思います。(一文~二文)

例)出来事

「私は先週北京に出張にいきました。一年ぶりです。」
我上周去北京出差,是时隔了一年的出差。

感想1

「なにも変化は感じられませんでした。」
我感受不到什么变化。

感想2

「仲の良い友人ともたくさん会えて楽しかったです。」
和亲密的朋友们见面并度过了愉快的时光,非常开心。

質問 

「あなたは北京に行ったことがありますか?」
你去过北京吗?

回答 

「一年に1回は北京に行く機会があります。来月また行く予定です。」
我一年里有一次去北京的机会。下个月也要去。

このように、書式を決めておくことで、日記そのものも書きやすくなります。書きやすければ習慣化もしやすい上に、上記の形式であれば会話においても応用させやすいです。日頃から中国語で日記を書いている方は、是非試してみてください。

9-5. 中国ドラマや映画を使った学習方法

教材だけで学習を続けていると飽きてくるかもしれないので、ドラマや映画などを通して学ぶと楽しみながら学び続ける事ができます。

ドラマや映画を通した学習には以下のメリットがあります。

  • いろんな人の会話を聴くことができるので多聴学習になる。
  • 会話表現を感覚的に理解できる。
  • 中国の文化や生活習慣を知ることが出来る。
  • 中国人との共通の話題にもしやすい。
これらのメリットに関しては、他の記事でもご紹介しています。
オススメ中国ドラマ14選│楽しみながら中国語リスニング力をアップ!

9-6. 会話の実践相手の探し方

せっかく勉強はしているけど、使える機会・実践する機会がない!という方は以下にてご紹介する方法で実践機会を探してみてください。

9-6-1. 中華料理店などのレストランで働く店員さん

今は中華料理店をはじめ飲み屋などで中国人の店員さんを見かけることも多くなりました。そこで中国語で話しかけてみたり、知っている中国語を駆使してオーダーもしてみてください。

あくまで筆者個人の所感ですが、コンビニの中国人店員さんよりも、中華料理店や飲み屋の中国人店員さんに対しての方が中国語で話しかけやすい印象があります。

9-6-2. 言語交換

日本語を学習している中国人との相互学習も、お金をかけずに会話の練習をする方法として多くの学習者が利用しています。この方法の一番のメリットは無料でできることですが、デメリットもあります。

<デメリット>

  • 相手の練習にも付き合う必要がある
  • レベルの高い方の言語に偏る傾向がある
  • 初級者同士だと機能しない

こうした可能性もあるので、中級者~上級者の方に適した方法かもしれません。

9-6-3. ネイティブ教師との会話レッスン

今はオンラインで比較的安価でネイティブとの会話レッスンを受けることも出来ますね。ですが、その先生が日本語を話せたり、一生懸命こちらの意図を理解しようとしてくれる優しいタイプの先生だとあまり練習にならないかもしれません。会話した気にはなりやすいのですが…

ですから、お願いする場合は厳しめのスタイルをリクエストすべきでしょう。

9-6-4. 日中コミュニティへの参加

外国人が利用しているコミュニティアプリなどを使って、中国人や台湾人が多く参加しているコミュニティに参加して友人を探してみるのもいいでしょう。

そうしたコミュニティに参加する際は「会話の練習相手探し」は前面に出さず、友だちづくりの結果、中国語での会話練習もできるようになった、というスタンスで参加しましょう。

「会話の練習相手探し」を前面に出してしまうと、相手から「練習できれば誰でも良いってこと?」と思われて敬遠されてしまうかもしれません。

9-7. オンライン留学の活用

日本にいながらにして、コストを抑えながら現地の大学への語学留学ができることもあり、モチベーションを高める上ではとても有効です。

他の記事でオンライン留学を解説した記事もあるのでご参照ください!
中国にオンライン留学!留学方法やメリットデメリットなど

10. その他

10-1. 健康の維持

語学学習を続けていくうえで、上記でご紹介してきた手法以上に大切なことは『日々の健康維持』です!

くれぐれも睡眠時間を削っての学習や、無理して早起きするような、健康にも影響がでそうなことはなさらないようお気をつけください。

そして、飲酒機会を極力少なくできたら、学習習慣化の成功確率は上がるでしょう。また、気力は体力と密接に関係しているため、筋トレや走り込みなどを通して体力増強することも大事です。体力がつけば、コンスタントに学習を継続できる可能性が高くなります。

ですが、忙しいときは無理をし過ぎず、自身の体調を優先的に整えるよう心がけてください。

10-2. ライバルを作る

同じ目標を持って取り組める友人がいれば、進捗などを共有することで刺激を受け、モチベーションにつながることでしょう。

中国語教室に通わずとも、SNSの学習コミュニティ上でそうした相手を見つけられるかもしれません。

10-3. SNSの活用とインフルエンサーのフォローと活用方法

SNS上にも中国語学習の有用情報を発信しているインフルエンサー(KOL:Key Opinion Leader)が少なからずいるので、学習方法のヒントを得るために、そうしたKOLをフォローしている学習者も多いことでしょう。

ただし、こうしたSNS上に流れている情報はあまりにも多すぎて、初級者~中級者ではその良し悪し・自分にとって有用か否かを判別するのは少しハードルが高いようにも感じます。

いろいろな方のサイトを見漁るのではなく、学習方法を絞り込むのと同様に、お手本として徹底的にパクるKOLも是非、絞り込んでいきましょう。

10-4. お役立ちYouTubeチャンネル

YouTubeにもたくさんの中国語学習に関連したチャンネルがあるので、ここでいくつかご紹介します。

『フルーエント中国語学院』

私どもフルーエント中国語学院が運営しているYouTubeチャンネルです。中国語を効率よく学んでいく方法や具体的な試験対策といった内容の動画を公開しています。

フルーエントチャンネルのトップページはこちら

『李姉妹ch』

HSKとコラボし、オンライン留学なども行っている在日中国人として知名度No.1のYouTuber。チャンネルはこちら

『ヤンチャンch/楊小溪』

四川省出身で日本在住の楊小溪さんのチャンネル。語学や文化、料理などを日本語と中国語を使って幅広く楽しく紹介しています。チャンネルはこちら

他にもリスニング動画や中国ドラマ・映画に限らず、中国語コンテンツが多数あるので、学習方法に限らず、”中国語に触れる”という点ではYouTubeは教材の宝庫です。見過ぎない程度に活用していきましょう。

10-5. 家族のサポート

同居する家族のサポートというのが、学習継続のためには意外に重要です。というのも、学習者の中には「発音練習がうるさいから静かにやってくれ」と言われるケースが少なからずあります。こう言われてしまうと、やはりモチベーションの低下に繋がりかねません。

私の例を出すと、学習し始めた当時、中国人ネイティブの家族と同居をしていました。ですが発音練習の様子をよく笑われたりもしていました。

それがとてもイヤで、「同居していると却って学習のジャマになる」と感じ、ひとりで会社の近くに引っ越すことを決意。その結果、集中できる環境と通勤時間の大幅短縮によって学習時間を確保できるようになり、独学を成功させることができたのです。

「ネイティブと同居しているとうまくなる」というのは子どもにのみ当てはまることで、大人には全く当てはまりません。ネイティブとの同居が語学学習に有利に働き始めるのは、上級者に近い中級者になってからようやく、という印象です。

このように、家族が学習している様子に何も文句を言わずにいてくれることは、とても重要といえます。

11. それまでの学習成果を確認する方法

自分のレベルや上達度合いを頻繁に確認していると、全然上達していないと思い込みやすいので、学習をはじめてしばらく経ってから、最低でも半年から1年位経過してから確認すると、その上達度合いを自己評価できるようになります。

ですので、学習を始めたてのときに以下のことを準備しておきましょう。

方法1:学習初期の発音練習を録音しておいて、半年以上経過してから再度聴いてみて、今と当時を比較する。

方法2:学習開始当時、音の羅列にしか聞こえなかったネイティブのスピーキング音声を半年以上経過してから改めて聴き直してみる。

語学学習でのモチベーション維持が難しい理由のひとつが「上達の実感が湧きづらいから」。だからこそ、初めの頃に比べて、明らかに成長していることを実感できる材料を持っておくことをオススメします。

私は中国語のナチュラルスピードの音源を日本から持ってきていたのですが、学習をスタートしてから最初の数ヶ月は何度耳にしても音の羅列にしか聞こえませんでした。

ですが、学習開始から8ヶ月以上経過をした頃に、その音源の存在を思い出して聴いてみたところ、8割以上を聞き取れるようになっている自分に驚き、モチベーションが爆上がりしたことがあります。

是非そんな体験をしてみてください。

12. 一定期間のサポート付きで独学のコツを掴む

これまで、独学を成功させるための考え方やポイント・方法などを具体的に説明してきました。

おさらいすると、独学を成功させるには

  • 正しい発音を身につける
  • 正しい学習方法・練習方法を確立させる
  • モチベーションを維持させるための仕組みづくりと考え方

といったことが必要!ということをご理解いただけたかと思います。

フルーエント中国語学院の学習カリキュラムにはそうした要素が全て揃っているので、実際のカリキュラム内容を知っていただくためにも、一度セミナーにご参加いただくのも、良いかもしれません。

13. 独学に向かない人

中国語は日本人にとって、比較的独学しやすい言語だと感じています。ただ、独学経験があり、かつその方法がうまくいった自負がある筆者から見た場合、以下の要素が強いと独学は成功しないのでオススメできないと感じる点を挙げさせて頂きます。

13-1. 音感があまりよくない人

聴いた音をそのまま真似ることが苦手な方にとって中国語発音の肝である四つの声調のコントロールはたいへん高いハードルです。したがって、ひとりで進めても改善していく可能性は限りなくゼロに近いと思われるので、第三者によるフィードバックは絶対に必要不可欠。

音の仕組みや口の構造を論理的に、日本語を通して身につけながら、練習を進めていく必要があります。

13-2. 自分で調べるクセが無い人

独学は、成功する方法の確立から実行、さらには学習を習慣化するための方法など、とにかく自分で工夫を重ね、ひたすらPDCAを回し続けることでようやく自分なりの道が見えてきます。

にもかかわらず、今はタイパ(タイムパフォーマンス)重視で、自分で調べずに”誰か知っている人に聴く”方がいい、という考えの人も増えています。

そうした方は独学ではなく、学習の先輩方からアドバイスやコーチングを受けながら進めていった方がいいでしょう。

13-3. 学習方法や教材をコロコロ変える人

学習方法や教材を頻繁に変える人は、どんな方法や教材を手にしてみても、結局はまた疑心暗鬼に陥って、最初からやり直す羽目になるので、永遠の初級者ループから抜け出すことができません。

こうした方は、教材や学習方法を自分で選ぶのではなく、強制的に、成功している人と同じ教材を使って、同じ進め方をするよう指南してもらうべきです。

まとめ

筆者が中国語を勉強し始めたのは今から10年以上も前の話ですが、中国語をある程度使えるようになってからは、日本にいたときには体験できなかった良い出来事がたくさんありました。

日本では上がりづらかった給料が上がり続けていったり、日本にいたときとは比較にならないくらい友人が増えたりと、チャンスと可能性、人生の豊かさが広がったことを実感できました。

そして私が今、フルーエントの学習トレーナーとして活動出来ているのは、当時学習を成功させた方法と、フルーエントで推奨している方法がほぼ同じだからです。

ぜひ、この記事で触れた内容のうち、一つでも構いませんので行動につなげて頂き、新しい可能性を開いていただけたら幸いです。

このやり方で中国語を学習すれば必ず結果が出るということは、私が指導させていただいた受講生が証明しています。心から応援しています!

記事をお読みいただきありがとうございました。

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編集部のスタッフはの在住地も中国・日本・ヨーロッパと様々です。フルーエント中国語学院(https://fluent.asia/tsushin/)の
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