中国語の学習では、日本語のフリガナのような「ピンイン」と一種のイントネーションのような「四声(声調)」を頼りに発音をします。そのなかで最も重要なのが、音の上げ下げである四声(声調)です。
その理由は、4種類の音程によって中国語の意味も変わってしまうから。日本人が中国語を学習する上で、最も重要であり、最初の難関がこの四声(声調)です。
私(中国語ゼミスタッフMM、上海生活6年)は中国語を習いたての頃、市場で野菜を買ったものの、大きくて持ち運びしづらいので半分に切ってほしくて「一半!一半!(半分)」と伝えました。すると、店主から”あなたは「一般(yìbān)普通」と言っているから、半分にしたかったら「一半(yíbàn)半分」だよ”と、笑いながら教えてもらった経験があります。
当時の私からすると、発音に大した違いはないじゃん!と思っていましたが、中国語にすると意味がまるで変わるので、大きな違いなのです。
この記事では、重要な四声の学習とパソコンや携帯で中国語を入力するときに便利な声調の入力に関してお伝えしていきます。
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目次
1. 四声(声調)とは?
四声とは、中国語の「音程の上げ下げ」のこと。声調と言うこともあれば、「第一声、第二声、第三声、第四声」と合計4種類あるので四声と言うこともあります。
中国語は、「a」という1つの音に対しても、4つの音の変化があります。その音程の変化によってそれぞれ意味も変わってきます。
例えば、日本語でも「朝」と「麻」や「雨」と「飴」など同じ音ですが、音程とアクセントの変化によって意味が変わってきますよね。中国語では、すべての音に4つの変化があるのです。
1-1. 超重要!中国語は四声(声調)が変わると意味も変わる
冒頭からもお伝えしている通り、中国語で四声を正しく発音することは極めて重要です。なぜなら、四声がずれてしまうと意味が変わってしまうからです。
たとえば、「ma」という音は、第一声なら「妈(お母さん)」、第二声なら「麻(アサ)」、第三声なら「马(馬)」、第四声「骂(罵る)」となります。このように、意味がまったく変わってくるのです。
中国人の方でも訛りのある言葉を話す方がいらっしゃいますが、発音は多少ずれても、四声がずれることはあまりありません。それほど、正しく四声を発音することは大切なのです。
それぞれのピンインに四声(声調)の音声が付いたピンイン表はこちらです。
2. イラストと音声で解説!四声の発音
四声について、文章による解説と音声でわかりやすく四声(声調)に関してお伝えしていきます。日本人がイメージしやすいイラストや表現をしているのでぜひここでマスターしてください!
中国語には、第一声から第四声まで、4つの音の変化があります。音の違いを実際の音声を聞いて確認してみましょう。
第一声: ā音声 第二声: á音声 第三声: ǎ音声 第四声: à音声 |
また、この4つの声調に加えて、「軽声」という、特に音程の変化もなく軽く出す音もあります。軽声の場合は特に記号は何もつけません。
これから、それぞれの声調について解説をしていきます。
2-1. 第一声māの発音
mā |
第一声のイメージは、電話で話している際、相手が先に切った場合の「プップップッ~」という電子音です。まっすぐに、わりと高めの音を出します。
2-2. 二声máの発音
má |
不良高校生が怒って聞き返すときの「あぁ!?」というイメージです。笑 短くグッと上げるのがポイントです。ゆっくり言うと日本人の場合は下の三声と間違われることが多いので、短く一気に上げるように意識しましょう。
2-3. 三声mǎの発音
mǎ |
ガッカリしたときの「あ~ぁ」のイメージです。最初から最後まで低い音で抑えるのがポイント。声調記号ですと、下がってからまた上がるように記載されていますが、低く抑えるイメージです。三声は、「半三声」といって、下げた状態から上がらずに抑えるように出すことがほとんどです。最初から「半三声」で練習するのが効果的です。
三声は、低い音を出す。それを意識するといいでしょう。
2-4. 四声màの発音
mà |
カラスの鳴き声「カーッ!」のイメージです。素早く思い切って落とすのがポイントです。決してやさしく言おうとはせずに、きつい印象になるくらいに一気に音を下げます。
2-5. 軽声maの発音
軽声は、特に音程の上げ下げはなく、軽く添えるように出す音です。軽声は他の声調の後に続くことはありますが、軽声が最初に来ることはありません。
3. 日本人が声調を正しく発音するコツ
日本人が声調を正しく発音するためには何が必要なのでしょうか?ここでは正しく発音するコツをご紹介します。コツさえ掴んで練習すれば誰でも発音できるようになります。基礎をしっかりと固めて綺麗な発音を目指しましょう。
日本人が正しく発音するためのコツ |
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3-1. 音の高さ・長さ・強さを意識する
日本人が4つの声調をきれいに出すには、
Ø 音の高さ
Ø 音の長さ
Ø 音の強さ
を意識するとやりやすいです。以下のポイントを少しオーバーにやるイメージです。
上記のように、音程に変化があるだけでなく、そもそもの音の高さが一声から四声までで違います。一声は高い音で、三声は低い音です。
特に日本人が苦手なのは、二声と三声です。上記のポイントを押さえてはっきりと区別して言えるようにしましょう。
3-2. 基本の20パターンを徹底的に練習する
「一声×二声」「一声×三声」など、声調の組み合わせは、全部で20パターンしかありません。まずはこの20パターンを徹底的に練習してください。これが定着すれば、すべての成長の声調で間違うことはなくなります。以下、それぞれの声調から始まる、全20パターンをご紹介します
≪一声からの5パターン≫ 一声 + 一声 māmā |
<一声 +の注意点> |
※三声×三声の特別ルール
第三声が連続するとき、前の第三声は第二声に変えて発音します。声調符号の表記はもとの第三声のままにしておき、発音するときに第二声に読みます。
このような変化は、単語の内部だけではなく “nǐ hǎo ma ?”→ “ní hǎo ma ?”(你好吗? あなたはお元気ですか?)のような2単語間でも同様におこります。
また、2つ目の第三声が軽声に読まれる場合にも、原則として前の第三声は第二声に変わります。(例)“nǎ lǐ” →“ná li” (哪里 どこ)
ただし、“jiějie”(姐姐 お姉さん)“yǐzi”(椅子 いす)など、親族の名称や接尾語“zi”(子)のついた名詞などの変化しないものもあり、これらは第三声(半三声)+軽声で発音します。
3-3. “一”と“不”の声調変化に注意する
3-2の三声のところで説明した「三声×三声の特別ルール」のように、声調符号と実際の発音が異なる特別ルールは他にもあります。
“一”と“不”は、実際に発音するとき声調変化を起こします。ただし辞書やテキストなどでの表記上は一般的に元々の声調“一(yī)”また“不(bù)”と、元の声調で表記するルールになっていますので発音の際に注意が必要です。お手本をよく聞いてまずは練習。慣れていきましょう。
≪一(yī)の声調変化≫ ①後ろに、一、二、三声が続くときは、四声で発音します。 例:一枝 yīzhī → yìzhī ,一台 yītái → yìtái ,一起 yīqǐ → yìqǐ ②後ろに、四声が続くときは、二声で発音します。 ③後ろに「四声が軽声になったもの」が続くときは、二声で発音します。 ④語の最後に位置するときは、元の一声のまま発音します。 ⑤序数、また数字を棒読みするときは、元の一声のまま発音します。 |
≪不(bù)の声調変化≫
“不”は後ろに四声が続くときは、二声に変調して発音します。 |
4. 四声(声調)の超効果的な練習方法
3章で紹介した「四声(声調)を正しく発音するコツ」に気を付けながら中国語ゼミがおすすめする効果的な練習方法をご紹介します。
四声の効果的な練習方法 |
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4-1. 日本人と中国人の両方から教わる
中国語を勉強する際におすすめしているのは、中国人と日本人の両方から教わることです
それぞれどちらかだけに頼って勉強していると、どうしてもメリットとデメリットが出てきますが、両方から教わることで、メリットだけをバランス良く取り入れることができるのです。
もちろんネイティブから教わるメリットは、「正しい発音を聞き、それを身につけられる」ことが挙げられます。しかしネイティブの先生でも、細かな口や口内の動作を理論的に日本語で教えることができる人は少ないでしょう。
そんな時に頼りになるのが、日本人から中国語を教わること。ネイティブでは教えきれない細かなところも日本語でイメージしやすく教えてくれるのは、日本人トレーナーならではの特権です。
このように、お互いの良いところを吸収できるので、中国語は独学ではなく、日本人・中国人の両方から教わることをおすすめします。
4-2. 学習の冒頭で20パターンの基礎トレを習慣に
四声(声調)の学習で肝となるのが、ご紹介した四声と四声の組み合わせである「20パターンの四声」です。この20パターンを毎日の中国語学習の冒頭で必ず練習します。
実際の声調記号を見ながら、音も聞きながら丁寧に練習しましょう。中国語を学習し始めてからの2ヶ月くらいは毎日徹底的に行い、完璧だと思えるまで練習しましょう。
4-3. テキストには声調記号をしっかり記入する
初級者から中級者の間は、テキストに必ず声調記号を書き入れましょう。ピンインと声調記号がすでに書かれているテキストであっても、漢字の上にも再度自分で声調記号を書き入れます。
また、教材に声調を書き込む際には、自分の苦手な声調は目立つように色分けして書いたりすることも大切です。日本人は二声が苦手な場合が多いため、すべての二声は目立つように太字やマーカーで印をつけるのも有効です。
ピンインと声調記号を見ながらきちんと発音ができるようになってからは、ピンインは見ずに漢字と声調記号のみを見て発音できるように練習していきます。
4-4. シャドーイング中心に学習する
その際の学習は、「シャドーイング」という方法を中心にします。
シャドーイングの詳しいやり方は『シャドーイングで語学をマスターする方法』をご覧ください。
シャドーイングとは、音を聞きながら自分も同じように0.3秒くらい遅れて、音についていくようにマネをしていく練習方法です。
声調の練習の際にも、自分で練習するのではなく、必ず正しい見本を聞きながら、さらにピンインや声調記号も見ながら丁寧に練習していくことが重要です。
その際に使う機材は、「ワンタッチリピート機能」や「学習機能」がついたICレコーダーなどの録音機材が便利です。
携帯電話はあまりお勧めしません。ただ、携帯電話を使う場合には、NHK出版の「語学プレーヤー」などのアプリを使うと、ワンタッチで数秒前に戻る機能を使うことができます。
『初心者が中国語を学ぶ勉強法はこれ!10,000人指導のプロが伝授』の4章をご参考にしましょう。
短期間で中国語をマスターする方法やシャドーイングに役立つ教材やおすすめアイテムをご紹介しています。
5. 声調の学習におすすめの動画
四声(声調)を理解するのに最も適切な方法は、日本人のトレーナーにコツを教わり、中国人講師の見本を聞くことです。以下の動画は、日本人トレーナーと中国人講師による解説動画です。2万回以上再生されている動画でわかりやすく解説していますのでぜひご覧ください。
「動画を見ている時間がない」という方はひとまずその下の解説を読んでいただいても構いません。ただ、この2つの動画は、あなたの中国学習を変える動画です。ぜひ時間がある時にご覧ください。
5-1.【中国語学習法・発音基礎講座】(1) (14分)
動画のリンクはこちらをご覧ください。
5-2.【中国語学習法・発音基礎講座】(2)声調 (34分)
動画のリンクはこちらをご覧ください。
こちらでも発音について動画でレクチャーしています。
6. 知っておくと便利!四声(声調)とピンインの入力方法
パソコンやスマホを使って中国語学習をしていると、「四声付でピンインを入力したい!」という方も多いのではないでしょうか?
パソコンやスマートフォンでも、四声(声調)やピンインを入力することができます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。Windows、Mac、iPhone、AndroidのOS別に異なる設定方法を、画像でご紹介します。
『画像で説明|中国語のピンイン入力・変換手順(パソコン・スマホ手書き)』
まずは発音から!通じる中国語を手に入れよう
はじめのうちは中国語の発音は難しく感じるでしょうし、特に日本語にはない発音は練習が必要になります。ですが、中国人に言葉が通じたときの喜び、会話のキャッチボールをしている自分を想像してみてください。一気に世界が開ける気がしてきますよ! 四声(声調)は中国語の基礎です。ここでご紹介した音声やイラスト、学習方法などを参考にぜひ挑戦してみてください。
記事をお読みいただきありがとうございました。
中国語ゼミ読者のみなさまは、
・中国人と流暢に会話を楽しめるようになりたい
・ビジネスで使えるレベルの会話が出来るようになりたい
・ニュースや映画を字幕なしで読めるようになりたい
・HSKなど中国語の試験に合格したい
などなど、夢や目標をお持ちだと思います。
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・中国語ゼミでは日本人が効率よく中国語をマスターするためのノウハウをすべてご紹介しています。ぜひ実践してください。
・中国語は発音が重要!この記事ではわかりやすくピンインの発音について解説しています。