大胆に言ってしまうと、すでに日本人は「中国語の8割」を学習し終えています。
というのは、中国語の最大の特徴である「漢字」の知識が既にあるからです。
現在、フルーエント中国語学院の中国語トレーナーである私SN(広州在住3年・HSK6級)は、初めて中国にやってきたとき、知っていた単語は”ニーハオ”だけでした。
そんな私が当時、街に出るときに必ず鞄に忍ばせていたもの、それは筆談用の”紙とペン”。聴き取れない・話せない、そんな中国語力ほぼゼロの私にも、「読み取ること」はできました。
中国語と日本語で意味や形の異なる漢字もありますが、中国生活開始当初の私を大いに助けてくれたのは、日本語を基礎とした「漢字」でした。そう、私たちは日本人として培った”漢字力”があります。
この記事では、漢字をよく知る日本人に特化した単語集「日本人がすぐに覚えられる中国語の重要単語350語」を厳選してまとめました。また、単語集と合わせて、効率的に中国語の単語を覚える方法についてもお伝えします。
効率的に中国語単語を覚えて、どんどん中国語をレベルアップさせていきましょう!
ただ、中国語の単語を覚える前に、まず中国語を正しく発音できるようになる必要があります。なぜなら正しい発音無しには中国語は通じないからです。
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目次
1. 単語を覚えることが重要な理由
万が一、文法が分からなくとも、単語がわかっていればその単語を組み合わせて文章を解読することができます。
反対に文法の仕組みを理解していても、単語が分からないと文章の意味が分からないこともあります。このように、語学の運用能力は単語力に大きく影響を受けます。
1-1. 語彙力を増やすことで総合力が身につく
単語力(語彙力)は語学力の基礎であり、語学力を向上させるには大きなカギとなります。語彙力が増えることにより、文章力や読解力も向上するのです。
読み書きだけでなく、会話やリスニングでも役立ちます。そうしていくうちに「総合力」となっていくのです。たかが一語、などと侮っていると、大きな失敗のもとになりかねないので、一語一語しっかりと覚えていきましょう。
1-2. 資格取得はレベルごとに一定の単語数が必要
中国語検定やHSKのような資格取得にも語彙力が必要です。必要単語数を、目安として以下の表にまとめましたので確認してみましょう。
中国語検定取得に必要な単語数 | |
5級 | 500語 |
4級 | 1000語 |
3級 | 2000語 |
2級 | 50,000語 |
1級 | 10,000語 |
1-3. 日本人にはすでに知っている単語がある
日本人は日常的に漢字を使用しているため、単語の表記を見ただけで意味が理解できる中国語がたくさんあります。
この単語集は、下の見本を見ていただくと分かるように、日本語と同じ漢字・意味の単語ばかりを集めた単語集です。
(単語集・見本)
あなたが意味を知っている単語ばかりですよね!
まったく知らない単語ばかり350語覚えるのは気が重いですが、既に意味を知っている単語ばかりなので、少し気が楽になりましたね!
この単語集を、1日25語ずつ覚えれば、2週間で 350語覚えられることになります。単純な語数だけでいうと、大学の第二外国語で中国語を1年間学習して習得する単語レベルが300語であること(※)を考えると、圧倒的な速さで習得できることがお分かりいただけると思います。
(※『HSKを受験するなら必読!<レベル>の話 1級~6級』の2章参照。)
2. この単語集を使う4つのメリット
- 初級レベル1200語の1/4の重要単語を網羅
- 日本人だからこそ覚えやすい350単語をピックアップ
- ピンインと発音を覚えるだけなので効率的
- 単語1つ覚えれば他の単語にも応用できる
2-1. 初級レベル1200語の1/4を網羅
この単語集の350語はすべて、中国語の検定試験HSK(汉语水平考试)1~4級レベルの単語です。
HSK4級のレベルは、「ネイティブと自然にコミュニケーションが取れる」というもの。つまりこの350語は、中国語日常会話において必要な、基礎的なものばかりということです。
HSK4級は、目安の習得語彙数が1200語とされています。この単語集で、その1/4が覚えられることになります。
【HSK各級の習得語彙数】
2-2. 日本人がすでに意味を知っている350単語
このリストは、日本人がすでに意味を知っている中国語単語のみをまとめたリストです。
すべて、「日本語と同じ漢字・意味の単語」です。「同じ漢字」の中には、下のように日本語とまったく同じ漢字もありますし、中国語の簡体字と日本語とで少し違いがある漢字もあります。
※まったく同じ漢字
(中国語) 安全(ān quán) |
(日本語) 安全(あんぜん) |
※簡体字と日本語で少し漢字が違う
(中国語) 爱情(ài qíng) |
(日本語) 愛情(あいじょう) |
2-3. ピンインと発音を覚えるだけなので効率的
「中国語の単語を覚える」こととは、以下の4つを覚えることです。
① 中国語の漢字
② ピンイン
③ 発音音声
④ 日本語の意味
中国語の漢字(①)と日本語の意味(④)はすでに把握していますので、あとはピンイン(②)と発音(③)を覚えればOK!
中国語の漢字<簡体字>(①)は、日本語の漢字と少し違うので、正確に覚える必要がありますが、簡略化された「簡体字」と表現するくらいですので、日本語の漢字に比べれば簡単です。
2-4. 単語1つ覚えれば他の単語にも応用できる
日本語では、ひとつの漢字の読み方を覚えると、その漢字が使われている他の単語の読み方は覚えやすいですよね。それは中国語でも同じです。
例えば、先ほどご紹介した「爱情(ài qíng)」という漢字とピンインを覚えると、これから「爱(ài)」のつく別の単語は、楽に覚えられます。
<爱情(ài qíng)の「爱」が使われている単語の例> 爱好(ài hào)…意味:趣味とする 爱护(ài hù)…意味:大切にし保護する 爱惜(ài xī)…意味:大切にする |
中国語の学習をこれから始めるという方の中には、「中国語と日本語で同じ漢字の単語は、同じ意味なんじゃないの?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
答えは、「同じではない」です。
日本語と同じ漢字でも、意味が異なる中国語が実はたくさんあります。
例えば、さきほどご紹介した「爱(ài)」のつく単語でいうと、「愛人(あいじん)」は、日本語では一般的に「配偶者以外の恋愛関係にある人」という意味で使われますが、中国語「爱人(ài rén)」ではなんと「配偶者」の意味なのです。「她是我的爱人(彼女は私の「爱人」です)」と紹介されても驚いてはいけません!
日本語と意味が異なる単語は他にも…
- 新闻(xīn wén)=「ニュース(報道)」の意味 ※ちなみに紙の新聞は「报纸(bào zhǐ)」
- 老婆(lǎo po)=「妻」の意味
- 缘故(yuán gù)=「原因」の意味
- 手纸(shǒu zhǐ)=「トイレットペーパー」の意味
などなど、まだまだたくさんあります。日本人から見た中国語の面白いところだと思います。
3. 「日本人がすぐに覚えられる中国語単語350語」
このページの記事を動画で解説しています。合わせてご覧ください。
350語を、1日25語ずつ覚えれば、2週間で全部覚えられることになります。1日10個ずつでも、35日で完了です。
この単語集を使った「中国語単語を覚える効率的な方法」を5章でご紹介します。「効率的に覚えたい!」という方はぜひお読みください。
ではお待たせしました!音声付き単語集350語はこちらです!
4. もっと語彙力を伸ばしたい人向けのおすすめ教材
ここからさらに「語彙のストックを増やしたい」という方向けに、おすすめのアプリと本をご紹介します。
4-1. 単語が覚えられるおすすめアプリ
まず、単語を覚えるために私が活用したおすすめのアプリをご紹介します。
中国語検定HSK公認単語トレーニング | |
ダウンロード:iOS/Android (※各級の「単語学習の1~50語は無料で利用できますが、51語以上、その他の機能は級ごとに課金されます。) |
|
「中国語検定HSK公認単語トレーニング」は、HSK受験者必携の公認教材シリーズの制作チームが作った中国語単語アプリ。 もちろん、HSK対策に主眼を置いた内容ですが、単語、訳、さらには例文音声までついた優れもので、HSK受験の有無に関わらず、中国語の総合力を高めてゆくのにおすすめです。定着度チェックのためのテスト機能などもあり、効率よく語彙力アップがはかれます。 弱点連続再生ができるので、私はよくHSK試験前になると、隙間を見つけては音声を流し、耳を慣らすようにしていました。 |
4-2. 単語学習のためにおすすめの本
また、書籍で単語学習におすすめのものは、『キクタン中国語【初級編】中検4級レベル』や『キクタン中国語【入門編】中検準4級レベル』などのキクタンシリーズです。
「聞いて覚える」を切り口に、「耳と目をフル活用」して覚えられる工夫がされています。文字も見やすく、1ページにおさまっている単語数は8語ほどで無理のないペースで学習することができます。
5. 中国語の単語を効率的に覚える方法
ここでは、たくさんある単語を、いかに「効率的に」そして「効果的に」覚えられるか?その方法をお伝えしてゆきます。
5-1. 単語暗記の事前準備!「発音の基礎をマスターする」
まず、単語を覚える前に、中国語の基礎である「発音(ピンイン・声調)」はしっかりマスターしておきましょう。
なぜなら、中国語は正しい発音が出来ないままでは、いくら単語を覚えて話しても通じないからです。正しい発音をしっかりカラダに染みこませることが大切です。
中国語の発音は難しいと思われがち。確かにピンインには日本語に無い発音がたくさんあります。声調(音の上がり下がり)もはじめは慣れないかもしれません。
しかし発音の学習にはコツがあります。そんな発音学習のコツを、『中国語の発音基礎|効果的なトレーニング方法|動画・音声付』で、動画と音声を使いながらわかりやすくご説明しています。このページでまず発音を確実にマスターしてから、単語を覚える作業に入りましょう。
こちらも合わせてチェック!
・ピンインの発音をひとつずつ確認できる一覧表
『中国語発音【声調別音声付き】ピンイン表(音節表)』
・声調のコツをわかりやすくレクチャー
『四声(声調)の発音をマスターする!【音声・動画付】』
5-2. 5つのステップで覚える暗記法「システマチック単語暗記法」
私がおすすめする「システマチック単語暗記法」とは、暗記とテストを含めた5つのステップをシステマチックに繰り返すことで単語を覚える暗記法です。
ポイントは、単語が覚えられているかどうかをテストする際に、チェックする方法を決めておくこと。
また、2-3でお伝えした中国語単語の要素「①中国語の漢字・②ピンイン・③発音音声・④日本語の意味」を意識して、徹底的に集中して覚えることです。
<システマチック単語暗記法>
<ステップ1> 音チェック |
中国語をみながら、音声に合わせてシャドーイング(同時に発音)。 (※シャドーイングとは、聞こえてくる音声を、聞こえたとおりに発声していく語学学習法。詳しくは『シャドーイングで語学をマスターする方法』をご覧ください。) |
<ステップ2> 音読 |
中国語をみながら、音声なしで同じく3~5回音読。 |
<ステップ3> エアライティング |
中国語の漢字を、ペンをもってエア(空気中)で2~3回書き取りをする。実際に書くよりもスピーディに練習ができる。しっかり書きたい漢字は紙に書いて練習する。 |
<ステップ4> 暗記テスト |
|
上記4項目の角度から暗記が出来ているかチェックする。全てが出来るまで続ける。
単語は「なんとなく」覚えてはいけません。このステップをシステマチックに繰り返し、完璧に覚えるまで何度もやります。
*いずれのステップでもストップウォッチを使って時間を計測すること。時間をしっかりと意識し、ダラダラとした学習に陥らないようにします。さらに記憶の定着に重要なのが復習です。翌日、翌週にしっかり復習を兼ねてテストをしましょう。
<人間は一度では覚えられないから“復習”する>
人間が何か新しいことを習得するためには、学んだ事を脳に定着させる必要がありますが、 私たちは1時間後には新しく学んだ事を忘れてしまい、24時間後には8割近く忘れてしまうと言われています。(エビングハウスの忘却曲線)
つまり人間の脳は忘れるように出来ており、一度で覚えられないのは当然なのです。記憶を定着させるためには、翌日、翌週に復習することが重要です。
5-3. 覚えられない単語だけ「表現ノート」に書き込む
覚えられない単語の覚え方は、王道ですがノートに書き出します。「自分が覚えられない単語」だけを集めた単語教材「表現ノート」を作るのです。
横罫の大学ノートに、中国語・ピンイン・日本語を書きます。必要に応じて例文と日本語訳を書きます。例文まで書く必要がある単語はほとんど無いでしょう。例文の日本語訳はよほど難しい場合を除いて、特に書かなくてもいいです。
これを作るだけでは意味がありません。常に持ち歩き、電車の中や休憩時間、人を待っている時などの「スキマ時間」にチェックして復習を続けます。
この単語集に限らず、教材の中で、「頭に入らない」というものが出てきたら、この表現ノートに書き溜めて行くようにしましょう。
5-4. それでも忘れてしまう単語は「イメージ化」
この記事の単語集には無いと思いますが、単語と意味が結びつかない単語の覚え方をご紹介します。
どうしても忘れてしまう単語の覚え方は、「イメージ化」です。
限られた時間の中でしっかり記憶に定着させるには「イメージ」が有効です。例えば「蛋糕(ケーキ)」だったら、虫が米のケーキを羊にあげるイメージ。「电梯(エレベーター)」だったら、弟が木のエレベーターに乗っているイメージという具合です。
かなり無理矢理でも、自分にしか理解できないイメージでもいいので、とにかく「覚え方のイメージ」を決めてしまいます。ただしこの方法は「どうしても覚えられない単語」に限定しないとあまり効果がありませんし、いろいろな単語でやろうとすると「覚え方を考えること」に時間が奪われてしまい、本末転倒になってしまいます。
また、語彙数を増やすためには教材選びも重要です。市販の単語教材の中から、おすすめのものをご紹介しています。こちらをチェック!
『中国語教材のおすすめ厳選23と効率的に使う方法』
まとめ
中国語に限らず、語学をマスターするために単語の習得は不可欠です。
ただ、中国語の単語は、長い間「漢字」を学習してきた日本人にとって、とても親しめる存在です。
まずは、すでに意味を理解している単語からスタートし、どんどん語彙数を増やしていきましょう!
記事をお読みいただきありがとうございました。
中国語ゼミ読者のみなさまは、
・中国人と流暢に会話を楽しめるようになりたい
・ビジネスで使えるレベルの会話が出来るようになりたい
・ニュースや映画を字幕なしで読めるようになりたい
・HSKなど中国語の試験に合格したい
などなど、夢や目標をお持ちだと思います。
そんなあなたにお願いがあります。
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