
台湾の中国語が気になっているあなたへ。
・「台湾と中国大陸の中国語は違う」と聞くけれど、詳しいことが分からない。
・台湾の中国語を、どう学んだらいいのか迷っている。
・台湾が好き!旅行で使える言葉をマスターしたい!
・仕事で台湾との関わりがあるので、言葉や文化を知りたい!
台湾の言葉に興味があるあなたの悩みを解決するために、今回の記事で「台湾の中国語」と「中国語の標準語」との違いをわかりやすく解説します。
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中国大陸とは違う!台湾の中国語
日本からも旅行で行きやすく、観光スポットとしても人気の台湾。現地では生の中国語に触れることができますが、台湾の中国語は、発音など中国本土の言葉と異なる部分があります。さらに台湾では、中国語以外にも使われている言語もあります。ぜひここで覚えておきましょう。
この記事では、そんな台湾の中国語と大陸中国語の言葉や発音の違い、学び方などを解説します。台湾中国語の違いを知って、理解を深めてくださいね。
1. 台湾の言語は主に3種類
台湾で使われている言語は、中国語(台湾華語)、台湾語、客家(はっか)語の3種類。それぞれ個性があり、通じる範囲も異なります。他にも先住民族語などもあり、現地に一歩踏み込んで耳をすましてみると、多言語の世界が広がっています。日本の方言レベルとは違って、それぞれ言語としての特徴があります。
また、母語の教育を推進している台湾では、小学校から中国語(台湾華語)以外の母語も学んでいるようです。台湾の人たちは、時代が変化しても独自の言語文化を大切に守っているのです。
1-1. 中国語(普通話)=台湾華語
台湾で使われている中国語(普通話)は、「台湾華語 (taí wān huá yǔ タイワンファーユー)」または「國語 (guó yǔ グォユー)」。台湾の人は、基本的に國語 (guó yǔ グォユー)と呼ぶそうです。
元は同じ言語なので、文法などは大陸中国語と同様です。ほとんどの内容は通じるので、旅行で訪れたり、大きな街でビジネス会話をするなら、まず困ることはないでしょう。
台湾華語は、大陸の中国語と部分的に違う単語がいくつか存在し、クセもあります。その違いは、例えるならイギリス英語とアメリカ英語のようなもの。大陸と台湾の生活スタイルや、環境、文化の違いが生み出した違いなので、この部分を知ることは台湾を理解することにもつながります。
このような違いがある理由として、中国が共産国家となった際の出来事が関係します。中国大陸内では、昔の言葉や文化を次々と変えていったために昔の言葉を使う必要がなくなりました。しかし、台湾や香港はその影響を受けなかったため、伝統的な中国語の言葉がそのまま残っています。
また日本の統治下だった影響によって、日本由来の外来語が多く存在します。たとえば大陸中国語では弁当のことを盒饭(héfàn ファファン)と言いますが、台湾では便當(当)(biàndāng ビィェンダン)と言うのです。
このような歴史的な理由、生活習慣、文化が反映された台湾華語。「方言」とはまた違う、独自の言語として存在感を放っています。
1-2. 台湾語
台湾ではかつて福建省から多くの人が海を渡り、そこを生活拠点としながら台湾の人と交流し、文化を作っていました。日本でいうと、江戸時代ぐらいの話。台湾語はそのころに福建省南部で話されている閩南(ビンナン)語から派生し、独自の言葉として発展してきた言語とされています。
それもあってか、北部より南部で今も多く話されており、南部に暮らす人は大陸中国語と台湾語両方を話すことができます。反対に台北付近の北部では、若い世代を中心に台湾語を話せない人も多いそう。方言のような違いではなく、日本語と韓国語並みの差や発音の違いがあるため、個別に学ぶ必要があります。公用語ではありませんが、広く親しまれている言語として覚えておくといいかもしれません。
1-3. 客家語
客家(はっか)民族の伝統的な言語である客家語。台湾では、台湾華語と台湾語の次に使われている第3の言語です。中国大陸でも広東省、福建省、江西省、広西省、湖南省、四川省などで使われており、客家民族が暮らしてきたところでは今も色濃く残っています。
ちなみに台湾に渡った客家民族は、出身地によって「四、海、大、平、安」の5つに分けられています。それぞれが使う言葉は、発音や語彙などが大陸中国語、台湾華語、台湾語とも異なるとか。時には、客家語を話す人同士でも意思疎通が難しいほど違うと言われています。
『10分でわかる中国語のすべて~中国語とは?方言は?学習法は?』
2. 台湾華語の発音について
「台湾華語」は、大陸で使われる中国語の発音と、具体的にどのような差があるのでしょうか。
2-1. 舌を巻かず、あまり抑揚を入れない
舌の巻き方を表す「捲舌」、抑揚を表す「声調」は、台湾華語と中国大陸の中国語では大きな違いがあります。まず台湾華語の発音では、あまり舌を巻きません。例えば、中国語で舌を巻く「チー (chi)」や「イー」といった発音が含まれる言葉は、台湾華語では少し違う音になります。試しに舌を緩めて「チー」と言うと「ツー」と言っているように聞こえます。
また、台湾華語の方が大陸中国語よりも柔らかく聞こえると言われます。その理由は、抑揚をあまりつけないため。平坦な口調にも聞こえるのですが、反対にはっきりとした語調ではないため、どことなく柔らかさを感じるのです。
2-2. ピンインの代わりに「ボポモフォ」を使用
中国語を学ぶときは、アルファベットなどで示した発音記号「ピンイン」を使用します。
台湾では、ピンインではなく「注音符号」という発音を表す表が使われ、これは学校教育やスマートフォンにも取り入れられています。「注音符号」は先頭の四文字「ㄅㄆㄇㄈ」から「ボポモフォ (bopomofo)」とと呼ばれ、全部で37文字。母音と子音を組み合わせて使用します。
組み合わせ方は以下の4通りです。
- 子音+母音(母音が複数になる場合もある)
- 子音1字のみ(zhi、chi、shi、riなど)
- 母音1字のみ
- 母音+母音
まず、子音から見ていきましょう。
注音符号 | ㄅ | ㄆ | ㄇ | ㄈ | ㄉ | ㄊ | ㄋ | ㄌ |
ㄍ | ㄎ | ㄏ | ㄐ | ㄑ | ㄒ | |||
ㄓ | ㄔ | ㄕ | ㄖ | |||||
ㄗ | ㄘ | ㄙ |
ピンイン | b | p | m | f | d | t | n | l |
g | k | h | j | q | x | |||
zhi | chi | shi | ri | |||||
zi | ci | si |
次に母音です。母音はあいうえおのシンプルな形式と、二重母音、三重母音を作るものがあります。
以下は基本となるボポモフォです。
注音符号 | ㄧ | ㄨ | ㄩ | ㄚ | ㄛ | ㄜ | ㄝ |
ピンイン | i | u | ü | a | o | e | ê |
こちらは二重母音、三重母音を作るためのものです。
注音符号 | ㄞ | ㄟ | ㄠ | ㄡ | ㄢ |
ㄣ | ㄤ | ㄥ | ㄦ |
ピンイン | ai | ei | ao | ou | an |
en | ang | eng | er |
以下のサイトでは1文字ずつの発音が分かるので、参考にしてみてください。
【参照リンクhttp://www.mdnkids.com/BoPoMo/】
2-3. 台湾華語と台湾語の発音の違い
文法こそ共通点はありますが、台湾語の声調は8種類。かなり発音が異なります。
有名なものでは、「はい」など了承の意味をあらわす「好 (hǎo ハオ)」は、台湾語になると「ホー(ho)」と発音します。台湾の南部へいくほど台湾語を使用する機会も増えます。自分がどの場所へ行くかを考え、台湾語の習得を検討する方がよさそうですね。
3. 簡体字と繁体字
中国と台湾では、使用される文字にも違いがあります。中国は「簡体字」、台湾は「繁体字」を使っています。
3-1. 中国大陸は簡体字、台湾は繁体字
「簡体字(简体字)」は中国大陸で1950年代に作られた漢字で、簡略化して使いやすくした文字です。一方台湾の漢字は「繁体字(繁體字)」または「正体字(正體字)」と言われる、本来の中国語の漢字が使われています。日本人が使う漢字のルーツになった文字でもあるので、繁体字の方が読みやすいと感じる日本人も多いようです。
「漢字簡略化法案」の政策が及ばなかった台湾や香港では、今も繁体字が使われています。そのため中国大陸内での漢字表記に慣れていると、台湾での読み書きに戸惑うケースもあるようです。
3-3. 簡体字と繁体字を混同する危険
どちらも同じ中国語を意味する文字ですが、混同して使うと思わぬ落とし穴があります。簡単に言えば、現在のひらがなに江戸時代などに使われていた「ゑ」などを混ぜて書くようなもの。言葉として伝わらなくなってしまいます。ビジネス文書や手紙など、形に残る文章を書く場合は注意を払う必要があります。
3-4. 同じ文字でも意味が異なるケース
例えば、日本語の「卓球」を繫体字で書くと「桌球」。同じく卓球の意味で通じます。しかし簡体字を使う場所で「桌球」の漢字を書いて卓球の意味を伝えようとしても、「桌球」は「ビリヤード」を表すので、全く違う意味になってしまいます。
このような文字はいくつかあり、単純に漢字を変換するだけでは対応できません。辞書アプリなどを活用して、その違いを知っておくと便利です。
『【中国語の繁体字とは?】知っておきたい簡体字との違い』
4. 台湾華語の学び方
では台湾華語はどのように学べばいいのでしょうか、発音などの違いも抑えて学ぶ場合に効果的な方法は3つあります。
4-1. 中国語教室、台湾華語コースで学習する
日本国内には、台湾華語を専門に教えてくれる中国語教室もあります。中にはSkypeなどオンラインで学べる教室もあるので、興味がある方はインターネットで検索してみてください。教室のメリットは、直接先生から正しい発音の方法を学べること。自分の発音の癖を知って、現地で通じやすい発音に直すことができます。
中国語教室は、自分1人だけで勉強するのが心細い人にはおすすめです。
4-2. 教材で学習する
日本では、まだまだ台湾華語の教材が少ないのが現状。もし教材を活用して独学で勉強するのであれば、台湾で中国語を学ぶ留学生が使っている教材をおすすめします。
『視聽華語』 |
ただし日本語での解説等がありません。ゼロから一人、教材のみで勉強を始める人には少しハードルが高いかもしれません。 |
日本語の解説が必要な人には「漢語大師」(Chinese Master・全5冊)というテキストがおすすめ。(2018年9月現在、amazonでは販売されていません)比較的新しいテキストで、台湾らしいナチュラルな生活用語が記載されています。初心者も安心して学べそうですが、文法解説は上記の「視聽華語」には劣ります。しっかり学びたい方は併用して学習するといいかもしれません。
『台湾華語&繁体字練習帳』(樂大維 著) |
4-3. 台湾旅行で使える会話を学ぶ
『街ぶら 台湾華語』(樂大維 著) |
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4-4. 台湾のドラマを活用する学習は要注意!
台湾で放送されているドラマを活用すれば、集中して台湾華語を聞くことができます。メリットは、実際のシーンに触れながら楽しく勉強できること。しかし、ドラマの中でも、台湾華語を使っている場面と台湾語を使っている場面の2つが出てくるケースがあります。混乱しやすいので、ドラマ学習には注意が必要です。
4-5. 留学のために中国語を学ぶ時の注意点
留学前には中国語をしっかり覚えようと思い、独学で勉強を重ねている人も多いかもしれません。
台湾華語と日本で一般的に販売されている中国語のテキストでは、違いがいくつもあります。2章で紹介した通り、発音が全く違います。そのため、台湾に留学して台湾華語を学ぼうとすると、ゼロから勉強をやり直すような羽目になりがちです。
中国語は発音が肝となる言葉。学習をスタートする際、留学するならどの地域へ行くのか、どの言葉を学びたいのか。まず、その部分を明確にすることが大切です。
違いを知って楽しむ!台湾への理解を深める!
台湾で使われている中国語の違いを理解することは、台湾の言葉を習得できるだけでなく、台湾の文化や歴史を理解することにもつながります。
短期間で習得しよう、と考えている人でも、こうした文化的な面にも目を向けることで、短い時間でも濃い勉強をすることにつながります。自分が学びたい分野、いきたい場所、活躍したい土地などを思い浮かべながら、勉強してみましょう。
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