中国語の全国通訳案内士試験の合格率は、わずか10%前後。合格するとハイレベルな中国語人材として認められる「語学系で唯一の国家資格」です。
試験は年に一度、合格率が低い「難関試験」ですが、今まで中国語の勉強を続けてきたあなたにとって、チャレンジする価値の高い資格です!
日本では、中国人観光客の増加や東京オリンピックに向けて、通訳ガイドのニーズは高まっています。中でも「中国語の国家資格を持つ通訳ガイド」はとても希少で、中国人からの信頼度も高く、ますます活躍の場が広がるでしょう。
まずは合格率の詳細、筆記試験の免除を受けるコツを知って試験にチャレンジしてくださいね。
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1.「全国通訳案内士」試験の合格率と難易度
中国語の全国通訳案内士、国家試験合格を目指すあなたへ。まずは気になる合格率と難易度の詳細をお伝えします。
1-1. 中国語の合格率は10%前後
全国通訳案内士の国家試験は、年齢や学歴などの受験資格はありません。誰でも受験することが可能なので、比較的チャレンジしやすい国家資格ですね。言語は、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語の10ヶ国語です。
平成28年度の場合、全ての言語を含めた全体の合格率は「21.3%」でした。言語別で見ると、英語の合格率が「23.8%」であるのに対し、中国語の合格率は「9.5%」。
平成29年度では、全体の合格率は「15.6%」。英語は「16.3%」、中国語は「10.6%」でした。その年によって合格率は前後しますが、中国語は他の言語よりも難易度が高いことがわかります。
(参考)『JNTO 日本政府観光局』
全国通訳案内士試験 受験者及び合格者数
『プロが教える!HSK6級に合格するための対策法』
1-2. 他の言語と比べて貴重な存在
英語、フランス語、スペイン語などの合格率が約20%前後に対して、中国語の合格率は10%前後です。合格者の人数を見てみると、平成28年度は英語の合格者数が2,006人に対し、中国語はわずか140人でした。平成29年度は英語が1,304人で中国語は130人。毎年、受験者数は増減しますが、中国語の全国通訳案内士が他の言語と比べて貴重な存在であることが明らかです。
1-3. 全国通訳案内士に合格後、都道府県に登録する
全国通訳案内士の国家試験に合格した後は、居住する都道府県に登録申請をしましょう。その後「登録証」が発行され、初めて全国通訳案内士として業務を行うことができます。また、観光庁のサイトでは「通訳案内士登録情報検索サービス」が実施されています。
自分の情報を登録すると、さまざまな分野から仕事の依頼がくることが予想されます。プロの通訳案内士として、仕事の幅が広がりそうですね。
(参考)『観光庁サイト』
通訳案内士法 改正情報総合サイト
1-4. 全国通訳案内士の就業率と将来性
超難関といわれる全国通訳案内士の国家試験。苦労して合格しても、今までは労働条件や労働環境が整っていなくて、合格後のキャリアを積むことが難しかったようです。実際、全国通訳案内士として活躍している人は約20~30%でした。
現在は、政府が進んで法整備を開始するなど、全国通訳案内士の業務内容や存在価値が見直されています。また日本を訪れる中国人観光客は、国家資格を持つプロのガイドを求める傾向のようです。将来的に、ますます価値が高くなる仕事の一つですね。
2.「全国通訳案内士」とは?
全国通訳案内士は、外国人観光客の通訳を行うだけではありません。ここでは、全国通訳案内士の主な業務内容についてお伝えします。
『中国語の通訳ガイドが足りない!「全国通訳案内士」試験合格への第一歩』
2-1. 外国人の観光客のための通訳業
全国通訳案内士は、日本を訪れた外国人観光客に対して、さまざまな観光地を案内し、旅行中のサポートを行うことを主な業務としています。
海外からの外国人観光客が増加傾向にあることは、ニュースなどでよく耳にしますよね。日本の観光地で日本の歴史や文化に触れる外国人、街で日本製の電化製品などを求める外国人の姿を見ることも日常的になりました。今後は、東京オリンピックの開催などから、これまで以上に外国人観光客の増加の見通しがあります。
2-2. コミュニケーション力と専門知識が必要
全国通訳案内士は、外国語の通訳だけが目的ではありません。日本を訪れる外国人観光客が必要とする情報を的確に伝え、旅行中に起こった急病などのハプニングにもすぐに対処できる能力も必須。ハイレベルな外国語のコミュニケーション力が重要視されているのです。
また、奥の深い日本の歴史や文化を外国人観光客にわかりやすく伝えなくてはなりません。歴史、文化、地理はもちろん、経済、観光、娯楽など、日本に関する幅広い専門知識が必要です。
2-3. 通訳案内士制度の変化
平成30年1月4日に通訳案内士法の改正が施行され、これまでの「通訳案内士」から「全国通訳案内士」に名称が変わりました。以前は、通訳案内士の国家試験に合格した人だけが通訳の業務を行うことができましたが、制度の改正によって「業務独占規制」が廃止。国家資格を持っていなくても、有償で通訳ガイド業務を行えるようになりました。
通訳案内士は「業務独占資格」ではなくなり、「名称独占資格」に。今後も、国家資格を持っていない者が「全国通訳案内士」と名乗ることはできません。国家試験に合格し「全国通訳案内士」と名乗ることが、プロの通訳ガイドという希少な人材に値するのです。
(参考)『観光庁サイト』通訳ガイド制度
また、近年急増する外国人観光客への対策として、無資格でも地域などが限定される「有償ガイド」という形で通訳案内業務を行えるようになりました。しかし有償ガイドを名乗っていても、意思の疎通ができないレベルの低い通訳では仕事になりません。
中国語のネイティブで日本語が堪能な「違法ガイド問題」も発生しているようです。無資格の通訳ガイドでは、トラブルになる可能性もあります。そのため、安心できる有資格者は、中国人観光客からも信頼される存在です。今後ますます全国通訳案内士の資格が重宝されるでしょう。
『中国語の通訳ガイドが足りない!「全国通訳案内士」試験合格への第一歩』
3. 合格率アップ!1次試験免除の条件
全国通訳案内士の1次試験は、一定の基準を満たすと「中国語筆記試験」の免除が受けられる制度があります。それぞれの条件、申請内容や期日を確認しましょう!
3-1. HSK6級試験で180点以上取得する
1次試験免除対象となる試験の中に、国際資格として広く知られているHSK6級があります。
このHSK6級試験は、中国語の日常会話の応用力が判定されます。試験内容は、会話などの「聞き取り」、長文読解問題などの「読解」、文章を要約する「作文」で、それぞれ100点の合計300満点です。
全国通訳案内士の中国語筆記試験の免除を受けるには、HSK6級試験で180点以上取得すること。難易度が高い試験ですが、実際は全国通訳案内士の中国語筆記試験に合格するより、HSK6級で180点取得する方が簡単です。
また、中国語検定1級合格も、中国語筆記試験が免除されます。しかしこちらの試験はHSK6級以上に超ハイレベルな力が求められるため、合格することは極めて難関。可能性が高く、チャレンジしやすい「HSK6級180点以上」を目指すことをオススメします!
取得できている場合、通訳案内士の試験の際に免除申請を行います。HSKの成績報告(コピー可能)を添付するだけなので簡単です。
- HSKとはどんな試験? HSK試験の全てを動画でチェック!こちらの動画をご覧ください。
- HSKは通訳案内士を目指す方、中国語力アップにオススメの検定試験。フルーエント学長 三宅裕之がHSK公式サイトにて解説!
- 通訳案内士になりたいあなたへ。HSK試験の情報はコチラを読めばOK!
『HSKを受験するなら必読!<レベル>の話 1級~6級』 - HSK6級に関する試験の詳細や対策はコチラ。
『プロが教える!HSK6級に合格するための対策法』
3-2. 日本地理能力検定1級または2級取得
全国通訳案内士試験の1次試験では、地理能力検定日本地理1級と2級の合格者は、日本地理の免除が受けられる制度があります。また総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者の合格者も、日本地理の免除を受けられます。
3-3. 日本史能力検定1級または2級取得
歴史能力検定日本史1級と2級の合格者は、日本歴史の免除が受けられる制度があります。また、大学入試センター試験の日本史Bで60点以上取得している場合も、日本歴史の免除が受けられます。
3-4. 大学入試センター試験 現代社会で80点以上取得
大学入試センター試験の現代社会で80点以上取得していると、一般常識の免除が受けられます。
3-5. 前年に合格した科目の免除制度
前年の1次試験で合格点に達した科目がある場合は、翌年の受験時に、その科目の免除を受けることができます。また前年の1次試験に合格し、2次試験の口述試験が不合格や試験を欠席した場合でも、一次試験の免除を受けることができる制度があります。
3-6. 免除を受けて2次試験対策に集中しよう
平成30年度より、全国通訳案内士試験ガイドラインが改訂されています。以前は免除が受けられる該当試験の受験年度から、1年以内が有効とされていました。現在、大学入試センター試験では「受験年度から5年以内」が対象となるなど、さまざまな項目が変更になっています。これによって、免除を受けることができる規制が緩和されました。まずは免除となる一次試験の内容、申請方法をチェックしてみてくださいね。
できる限り1次試験は免除を受け、さらに難関である二次試験での通訳問題やプレゼンテーション問題対策に集中して勉強しましょう。また、改訂された全国通訳案内士試験ガイドラインの詳細は、事前に以下の参照リンクをご覧ください。免除の内容や申請方法などをしっかり確認し、試験に臨んでくださいね。
参照リンク:全国通訳案内士試験ガイドライン(平成30年3月30日改訂)
4.「全国通訳案内士」試験の概要
4-1. 試験は1年に1度のチャンス
全国通訳案内士の国家試験は、1年に1回のチャンスです。例年、8月に1次試験、12月に2次試験が行われています。以下のサイトで詳しい日程をチェックしてください。申請に必要な書類が多い場合もあるため、早めに準備を進めましょう。
(参考)『JNTO 日本政府観光局』
4-2. 書面願書の取得方法
全国通訳案内士の書面願書は、以下の場所で配布されています。(平成29年度の場合)
- ㈱JTB コミュニケーションデザイン内 通訳案内士試験係
- 国際観光振興機構(JNTO) 通訳案内士試験係
- 国際観光振興機構(JNTO)のツーリスト・インフォメーション・センター
- 各都道府県通訳案内士試験担当部署
- 一般社団法人日本観光通訳協会
- (協)全日本通訳案内士連盟
遠方などの理由で郵送を希望する場合は、(株)JTB コミュニケーションデザイン内 通訳案内士試験係宛に、切手を貼った返信用封筒を同封して請求する方法もあるようです。
4-3. 試験の費用
全国通訳案内士の受験手数料は、1つの言語の受験につき11,700円。2つの言語を受験する場合は23,400円です。免除申請を受ける場合でも、受験料に変更はありません。また、受験手数料の支払いは、郵便局や銀行などの窓口の他に、オンラインによる電子申請での支払いも可能です。
4-4. 詳細は問い合わせを
法の改正、ガイドラインの改訂があったため、試験内容や手続きに多くの変更点があります。
全国通訳案内士の国家試験は、年に1度しかありません。申し込みの不備で受験できない事態にならないよう、不明点は早めにお問い合わせを!
(参考)『JNTO 日本政府観光局』
まとめ.中国人に喜ばれる全国通訳案内士になろう
お隣の国、中国からの観光客が増加していますが、英語の全国通訳案内士に比べると中国語の通訳案内士は少なく、受験者や合格者も少ないことが現状です。将来、幅広く活躍できる中国語のスペシャリストに興味がある人は、ぜひ中国人観光客に喜ばれるガイドを目指して試験に挑戦してみてください。
記事をお読みいただきありがとうございました。
中国語ゼミ読者のみなさまは、
・中国人と流暢に会話を楽しめるようになりたい
・ビジネスで使えるレベルの会話が出来るようになりたい
・ニュースや映画を字幕なしで読めるようになりたい
・HSKなど中国語の試験に合格したい
などなど、夢や目標をお持ちだと思います。
そんなあなたにお願いがあります。
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