新型コロナウイルスの様々な余波が起こっています。フルーエント中国語学院の学長、そして、中国に会社を持ち、シンガポールに住む立場から、今後の世界やコミュニケーションに関していくつかお伝えします。
(新型コロナウィルスへの考え方と対策については、こちらの前回投稿をぜひお読みください。また、本原稿は2月27日に書いたものなので、最新動向もご自身で確認しつつ、ご自身の判断を大切にしてください。)
まずは今回の新型コロナウイルスで、様々な問題に直面している方々に心より応援の気持ちを送ります。もちろん私も例外ではありません。現在治療中の方や最前線にいる医療関係者の方々も心から応援しています。
目次
最後に笑うのは誰か?
まず、中国語学習をしている方や、中国関連のビジネスをしている方、それ以外にも今回の件で先行きに不安を抱えている方へ。
新型コロナウィルスのような事象が起こると、一旦、学習への意欲は落ちたり、学習者が減ったりします。ビジネスや生活の問題や不安も起きてきます。かつてで言えば、SARSや尖閣諸島問題がありました。
ただ、その後どうなったでしょう?
問題が過ぎるとさらなるチャンスが広がっていました。
勝ったのは、笑ったのは、「一見問題に見える状況の中で仕込みをしていた人」です。それは、ビジネスのチャンスの仕込みであったり、学習などを通じて実力をつけていた人たちです。
ちなみに、尖閣諸島問題の時は、私は中国の蘇州にいました。日本でも大きく報道されていましたね。私が住んでいるマンションから見える日本料理店が並ぶ通りも、主に地方からやってきたデモ隊によって大きく破壊されたりしました。(店の経営者はみなさん中国人でした。)
ただ、実際の生活では実はほとんど変化がなく、個人的に嫌な思いをしたことも一度もありませんでした。街の一般的中国人は相変わらず親切でした。
今のコロナウイルスも、今の中国は徹底管理をしているので、実際の中国人は「とても安心して生活している」と言っています。むしろ中国側が、対策があいまいな日本をブロックする動きになっていますね。私の友人である中国政府の中国人も、日本駐在を切り上げて本日中国に帰国されました。
新型コロナがもたらす社会の変化、実はさらに進化している中国
健康被害も持病を抱えている方や、高齢の方はどうぞ十二分に気をつけてください。一方、今回の新型コロナウイルスがもたらす大きな影響は、実は健康被害より、経済的なインパクトや、社会構造、ワーキングスタイル、ライフスタイルの大変革です。
今後、パンデミックが起こる可能性がありますが、僕自身がとらえる真のパンデミックとは、病原菌のパンデミックではなく、「怖れ」という人々の感情のパンデミックです。「怖れ」により、人が街に出なくなり、経済も停滞し、大きな不況が訪れる可能性が高いです。
そこで何が起こるか?
ライフスタイル・ワーキングスタイル・コミュニケーションスタイルが激変します。すでに中国では、何億人もの人たちが在宅での仕事や学習をし始めました。
WeChatのテンセントや、百度(バイドゥ)などが様々なリモートワークツールを提供しています。ただでさえ、中国のITサービスは日本の先を行っていました。ここで、さらに水を開けられます。中国が圧倒的に進化していきます。
そう、起こっているのは停滞ではなく「進化」なのです。もちろん進化の波に飲み込まれる中小企業や個人もたくさん出てきます。(社長のみなさん、共に頑張りましょう!)
ただ、明らかに進化が起こります。社会の歴史、生命の歴史を見ればわかるように、環境が変わることにより、社会も個人も進化していくのです。
日本でも在宅勤務の会社がたくさん出始めました。様々な弊害や痛みはあるでしょう。ただ、個人的には素晴らしい側面も大きいと思っています。
リモートワークとオンライン教育の普及で、全てが効率的に
私は海外生活歴が10年になります。日本に行き、たまに満員電車に乗るたびに、「どうしてみんなこんな辛い通勤をしているのだろう?」と疑問に思っていました。本来は、もっと家族との時間や趣味の時間を大切にできるはずなのです。満員電車に乗ったり、通勤に時間をかける生活をしなくても仕事はできるはずなのです。
私自身は、日本、中国、シンガポールで数社の経営をしていますが、長年の間、全スタッフさんが在宅勤務の体制で行なっています。私を含めて。会議は全部オンライン会議ツールの「ZOOM」ですし、プロジェクトは「チャットワーク」というチャットツールでの管理です。書類はもちろん全部クラウド管理。教育サービスをやっていますが、すべてオンラインでのサポートや、オンラインでのセミナーです。
社内の会議では、画面の向こうにスタッフのお子さんが見えることもあります。とても微笑ましいですし、お互いの私生活も理解できます。
スタッフさんは、世界各地にいます。中にはアイルランドの人口100人の村に住んでいらっしゃる方もいます。人より羊が多いそうです。笑
リモートワークの体制にして、世界各地の優秀なスタッフさんに一緒に働いてもらえるようになりました。スタッフさんの中には、リアルに会ったことがない方もたくさんいます。それでも、ありがたいことに良い信頼関係が築けています。
今回、日本でも在宅勤務が始まり、日本でも多くの人が気づくのではないでしょうか?
「あれ? 会社行かなくてもよくない?」と。笑
通勤時間も節約でき、家族との時間も増え、自分のやりたいことをする時間もできます。テレビ会議がなければ、毎朝のお化粧も不要です。僕も南国にいるので、テレビ会議の時でさえ、下半身は短パンです。笑
教育に関しても同じです。もちろん子供たち同士でのリアルなコミュニケーションは重要です。日本の学校の給食システムなども、とても素晴らしいと思います。この記事を書いている途中に、小中高の休校要請が政府から出ましたが、親御さんにとっては大変な問題だと感じています。
一方、こちらも中国では多くの子供たちがITツールや動画で学び始めています。学校側から提供されることも多いです。ITの教育ツールや動画などにより、教育はよりレベルが高く、効率的になります。
こちらも、「あれ? 学校の●●先生より、この動画の先生の方が授業はよくない?」
となるのです。
私は文部科学省の官僚の方々に向けた研修や、全国の教育委員会から選抜された小中高の先生方に研修をさせていただいています。なので、先生方の役割が、授業以外にたくさんあること、とても重要な役割を担っていることは、もちろん百も承知です。
ただ、ITのツールを使えば、先生方がもっと効率的に授業もできますし、生徒個人ごとに進度設定をすることもはるかに容易になります。先生方の授業負担が減り、本当に大切なことにも時間が使えるようになります。今のような大量の書類やサービス残業、ブラック部活に追われることもなくなります。
子供、学校、家庭のコミュニケーションもはるかに効率的になります。私の娘が通うシンガポールの学校でも、学校での様子の動画や課題などを専用のサイトで確認できます。
語学の使い方が変わる
語学学習の話をしましょう。新型コロナウイルスにより、世界はよりローカライズしていきます。国から出なくなり、地域から出なくなり、家から出なくなります。ただ、そのローカライズとは、オンライン上でのグローバリズムを伴ったローカライズなのです。
今まで、英語や中国語を使うシーンは、実際に人と会ってのシーンが多かったのですが、今後はオンライン上での動画などを通じてコミュニケーションしていくことが増えてきます。そしてその機会は、リアルに会って語学を使っていたシーンよりもずっと多くなってきます。
異文化コミュニケーション、語学コミュニケーションの頻度は上がってきます。お金も時間もかからないからです。旅行に行く必要もなく、出張に行く必要もなく、自宅で海外の方とどんどんコミュニケーションするようになります。
なお、様々なウェブツールを使いながらのコミュニケーションになるので、話しながら辞書を使ったり、ウェブ上の「自動書き取り機能」なども駆使しながらのコミュニケーションにもなるでしょう。語学を使うことへのハードルが下がります。今までは「電話会議は難しい」という印象でしたが、「ウェブ会議の語学は楽」になります。
迷わず学習のアクセルを踏め
よって、語学学習に対して少し躊躇し始めているかもしれないあなたに、僕は勇気を与えたい。
「迷わず学習のアクセルを踏め」と。
ここで力をつけるのです。嵐の中で、首をすくめながら能力を磨くのです。長い嵐の場合は、嵐の最中にですらチャンスが訪れるでしょう。僕もこの記事を書いた今日も、朝起きてから、普段の英語学習と中国語学習を30分ずつやりました。淡々とやるのです。それがプロ。
大きな社会変革の年がやってきました。この波に乗りましょう。
アクセルを踏もう。
フルーエント中国語学院学長 三宅裕之
三宅先生
新しい記事の投稿をありがとうございます。心配なニュースばかりでどうしても重い気持ちになりますが、その中で今回の記事は未来への指針を示す希望あるもので、とても心が軽くなりました。
三宅先生とフルーエントの存在を知ってから、毎日時間をみつけて中国語の勉強を続けております。
20年ぶりの本格的な学びですが、フルーエントさんの無料動画などを使いながら基礎から学び直す中で、「この発音の口の中はこんなふうだったんだ」とか、「この前置詞はこの位置だったね」など忘れてていたこと、思い出すこと、勘違いしていたことなど新しい発見が様々あり楽しい毎日です。
もう少し勉強へのモチベーションをあげていきたくオンラインセミナーを申し込みました。パソコンとも無縁の日々でしたのでだいぶ勇気いりましたが。。。(笑)
これも自分を変革していく一歩なのかと思うとワクワクしています。
そして、まだ家族に伝えてないので、この時間子供たちをどうするのか悩んでますが(笑)、自身が学んでいる姿を通して子供たちにも学び続ける大切さを伝えていきたいなと思います。
当日、先生の講義を伺えるのを楽しみにしています。