「烏龍茶(ウーロン茶)」と聞くと、皆さんはどのようなお茶を想像しますか?
多くの人は、ペットボトルの烏龍茶に代表されるような、茶色の少し香ばしい味わいのお茶を想像するのではないでしょうか。日本で烏龍茶は「油っぽい料理と一緒に飲むと脂肪の吸収が抑えられて、ダイエットに効果的」と、その効果に着目する人が多いかもしれません。
しかし、「私(中国語ゼミスタッフMT)」が中国で出会った烏龍茶は、薄緑色の蘭の香りがするものから、赤みがかった甘い香りのするものまで多種多様で、その味わいも、一煎目、二煎目、三煎目と淹れるたび変わる、その違いは驚くほどです。そのような意味で、「お茶を楽しむ」という表現が最も当てはまるお茶が烏龍茶といえるでしょう。このようなお茶を楽しまない手はありません。
皆さんも是非、烏龍茶で中国茶を楽しみましょう。
なお、烏龍茶だけでなく中国茶全体について知りたいという方は、『本場で2年間中国茶を学んだ私が教える中国茶の魅力』をご参考ください。
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目次
1 烏龍茶の種類は100種類以上
烏龍茶はお茶の木の種類や生産地、生産方法の違いで味わいや香りが異なり、その種類は100以上あるといわれています。
だからこそ、自分の好みに合うお茶を探す楽しみが烏龍茶にはあるといえます。
しかし、一方で、そんなにあったら、どれが自分に合う烏龍茶なのか探せないのではないかと心配する方もいらっしゃるでしょう。
そこで、私のおすすめの方法は、どこのお茶屋さんにも置いてあるであろう、作り方の全く異なる烏龍茶の代表的な種類をまず飲んでみます。そして、自分の好みに合う烏龍茶が分かったら、その種類に近いお茶を何種類か飲ませてもらい、自分が最もおいしいと感じるお茶を見つけるという方法です。
既に代表的な烏龍茶の味を知っているのであれば、始めから、自分の好きな種類のお茶を飲ませてもらうこともできます。
そもそも、100種類以上の烏龍茶が常にお茶屋さんに常備されているわけではありません。烏龍茶の専門店でも、あるのは30種類ぐらいで、しかも、地域によって常備している種類が異なります。例えば、福建省では福建省で多く栽培している岩茶とよばれる種類の烏龍茶が多く、台湾では台湾で栽培される高山烏龍や東方美人などといった烏龍茶が多いでしょう。
旅行先のお茶屋さんで、その地域で栽培されている烏龍茶を色々試してみるという楽しみも生まれます。
2 初心者におすすめの烏龍茶~まずはこの烏龍茶を飲んでみよう~
初めて中国茶に接するあなたにおすすめの烏龍茶はずばり、鉄観音と大紅包です。
※( )内は、台湾や香港などで使用されている繁体字です。
tiě guān yīn 铁观音(鐵觀音) ティェ グァン イン |
産地:福建省北部 茶葉:黄緑がかっており手で半球形に圧縮してある。 味わい:茶は蘭の花の香りがしてすっきり 特徴:春夏の2回収穫され、一般に春の茶葉は味が良く価格も安い、秋の茶葉は味よりも香りが良く価格は高いといわれている。 |
dà hóng páo 大红袍(大紅袍) ダー ホン パオ |
産地:福建省武夷山 特徴:武夷山の岩場の途中にある、樹齢300年を超える伝説的な4本の茶木から採れる茶葉が本来のもの。しかし、この木は現在、国が管理しており一般に市場に出回ることはない。市場に出回っている大红袍はその茶木から枝分けなどで増やされた木から摘まれたもの。 茶葉:黄色がかった褐色または赤褐色で、茶葉は大きければ大きいほど高価 味わい:キャラメルのような甘く深い 逸話:世界一高価な茶葉といわれており、20g250万円で取引されたこともある |
この二つは、ほとんどの中国茶販売店に置かれていますし、青臭さがまだ残っている烏龍茶と全く残っていない烏龍茶とでは味わいが全く違います。
まずはこの2種類を試飲してみて、自分の好みの烏龍茶がどのようなものか分かったうえで、それをもとに、烏龍茶を飲み比べ、自分の好きな烏龍茶を見つけましょう。
また、烏龍茶は春(4月下旬~6月)、秋(10月~12月)に新茶が店頭に並びます。一般に、春の烏龍茶は香りがよく、秋の烏龍茶は味が良いといわれており、春の烏龍茶の方が、価格が少し高くなる傾向にあります。
できれば、新茶の出る季節に合わせて購入することをお勧めします。
3 烏龍茶はどこで買ったらいいの?
中国大陸や台湾に旅行すると、町のあちこちにお茶を飲ませてくれる店や販売する店がありますが、日本で中国茶を購入することができるのか?という問題があります。
日本でも最近では、中国茶を専門に取り扱うお茶屋さんが増えてきましたが、大都市が中心で、その数も多くはありません。
そこでお勧めは、インターネットなどを使い、中国茶を販売するお店で少量ずつ茶葉を購入するという方法です。中国茶は7g程度の茶葉で、多くて7回程度淹れることができるので、自分で飲んでみて、好きな烏龍茶を探すとよいでしょう。お店によっては、何種類かの烏龍茶を少量ずつセットで販売しているところもありますので、そのようなセットを買うとお得に楽しめるでしょう。
以下に中国茶を購入できるお店をご紹介します。
LUPICIA(全国主要都市・ネット販売あり) https://www.lupicia.com/ |
天仁茗茶・天福茗茶(神戸・ネット販売あり) https://www.tenren.co.jp/ |
神戸岩茶荘(神戸・ネット販売あり) https://gancha.net/ |
UFFU(芦屋・ネット販売あり) https://www.uffu.net/shop.html |
彩香(ネット販売のみ) https://store.shopping.yahoo.co.jp/saika/ |
中国茶の世界(ネット販売のみ) https://www.tea-jp.com/tea/ |
4 烏龍茶をもっと知りたいあなたに、代表的な烏龍茶の種類
ここでは、「2 初心者におすすめの烏龍茶」で紹介した铁观音と大红袍以外の、代表的な烏龍茶についてご紹介します。
dōng fāng měi rén 东方美人(東方美人) ドン ファン メイ レン |
産地:台湾新竹県 茶葉:茶葉は褐色、白色が混じっている 味わい:熟した果実あるいは蜂蜜の香りがして、甘く味わい深い 特徴:ウンカ(小さな昆虫)が茶葉の芽を噛むことで茶葉が白く変色、このことで独特の味、香りになるといわれている。 逸 話:昔、お茶を管理していたところ、ウンカに食べられてしまい、もったいないと感じた生産者が自分で飲んでみたところ、なんともいえない良い味わいだったことが生産の始まりといわれている。また、東方美人という名前も、お茶を飲んだイギリス人が感動して、“東方から来た美人”と名づけたことが始まりといわれて いる。 |
fèng huáng dān cōng 凤凰单枞(鳳凰單樅) フォン フゥァン ダン ツォン |
産地:広東省鳳凰山 茶葉:一本一本真っすぐ 色:赤褐色(大紅と似ているが少し色が薄い)、黒みがかった深緑色。つやがある。 味わい:天然の花の香りだが、新鮮な花の香というより、時間がたった花の香。 名前の由来:凰山で、鳳凰水仙一株から採る茶葉だけで作り、ほかの茶葉を混ぜないことからこの名前になった。 |
gāo shān wū lóng 高山乌龙(高山烏龍) ガオ シャン ウー ロン |
産地:台湾南投県(標高1000メートルを超す山地で栽培されている) 茶葉:深緑がかっていて半球形に圧縮してある。つやがある。 味わい:香りは金木犀の花に例えられ、甘い芳醇な味が特徴。 台湾で最も多く生産されている烏龍茶。 |
dòng dǐng wū lóng 冻顶乌龙(凍頂烏龍) ドン ディン ウー ロン |
産地:台湾鹿谷村 茶葉:焙煎されたものは黒緑で半球形に圧縮してあるが、焙煎されていないものは深緑がかっていて半球形に圧縮してある。 味わい:焙煎されたものは香ばしい味わいがあるが、焙煎されていないものは花の甘い香りがする。 |
5 烏龍茶を楽しもう
購入した烏龍茶を、自分で烏龍茶を美味しく淹れてみましょう。
中国茶の淹れ方は、日本茶とは少し異なりますが、慣れるとさほど難しいと感じません。
5-1 用意するもの
suí shǒu pào 随手泡 スイ ショウ パオ |
お湯を沸かし、片手で持ち上げ注ぐことのできるもの。一般的な電気ポットでよいですが、できれば注ぎ口が長いと細くお湯を注ぐことができるため、最適です。 |
gài wǎn bēi 盖碗杯 ガイ ワン ベイ |
お茶を淹れるための道具。茶碗に茶托、蓋がついた3点セットのものが一般的。 |
gōng dào bēi 公道杯 ゴン ダオ ベイ |
ガラスや陶器で作られた、注ぎ口のついた器。盖碗杯、紫砂壶、玻璃杯で淹れたお茶を茶碗に入れる前にいったん移し、味を均等にする。 |
guò lu wǎng 过瀘网 グゥォ ルー ワン |
盖碗杯、紫砂壶、玻璃杯で淹れたお茶を公道杯に移す際に使用する、茶漉しのようなもの。 |
pǐn míng bēi 品茗杯 ピン ミン ベイ |
お茶を飲むための茶碗。日本の茶碗よりも小さい。 |
5-2 淹れる手順
① お湯を1/3ほど入れ盖碗杯を暖める
② 盖碗杯のお湯を公道杯に移し、品茗杯に注いで公道杯と品茗杯を暖める
③ 茶葉を盖碗杯へ入れ、そこにお湯を1/2注ぎすぐに捨てる(=茶葉を洗う)
④ 盖碗杯にお湯を適量入れる(茶葉を茶器の中で泳がせると渋みが出るため、細くゆっくり回し入れる)
⑤ 过瀘网を通して公道杯に移し、品茗杯に注ぐ
5-3 注意点
・お湯の温度
茶葉の種類や状態によって温度や茶葉の量が異なります。例えば、良いお茶であれば高温でお茶を入れると葉の色が変わってしまうため、低めのお湯で淹れることがよいとされています。
お茶を買う際に最適な温度を訪ねるのが一番良いのですが、頂いた茶葉などについては、お茶を飲んでゆく中で調節してゆくしかありません。
ちなみに、烏龍茶の一般的な温度は95度前後、茶葉の量は7g程度と言われていますので、分からないときはこの程度から始めてみましょう。
・蒸らし時間と淹れる回数
お湯を注いだあとの蒸らし時間、これが長いと渋みや苦味が出るので注意が必要です。しかし、これは湿度や茶葉の状態により微妙に異なります。
ここでは目安の時間を紹介しますので、淹れながら調節していってください。また、中国茶は英国紅茶と異なり、何度も淹れることができます。茶葉を購入したお店で尋ねると、何回くらい淹れられるか教えてくれますが、念のため、代表的な茶葉の淹れられる回数の目安についてもあわせてご紹介します。
回数 | 烏龍茶 | ||
大红袍 | 铁观音 | 东方美人 | |
1回目 | 45秒 | 30秒 | 30秒 |
2回目 | 45秒 | 30秒 | 30秒 |
3回目 | 55秒 | 40秒 | 40秒 |
4回目 | 65秒 | 50秒 | 50秒 |
5回目 | 90秒 | 60秒 | 60秒 |
6回目 | 120秒 | 70秒 | 70秒 |
7回目 | – | 80秒 | – |
6 おわりに
今回記事を担当させて頂いたMTです。烏龍茶は中国茶の中でも私達日本人に最も馴染みやすいお茶といえるでしょう。是非、中国茶の入門として味わってみてください。
記事をお読みいただきありがとうございました。
中国語ゼミ読者のみなさまは、
・ネイティブとの会話を楽しみたい
・仕事で中国語を使えるようになりたい
・HSK、中国語検定に合格してキャリアアップしたい
・ドラマや映画を字幕なしで楽しみたい
・旅行で使える中国語を身につけたい
などなど、夢や目標をお持ちだと思います。
そんなあなたにお願いがあります。
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(トップ画像出典:茶文艺茶图库 https://www.chawenyi.com/teaphoto/)