【鍼灸師が図解】お灸で効果があるツボ20選|腰痛、肩こり、ダイエット、不妊、冷え性、頭痛、生理痛、便秘など

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お灸
のべ45,307がこの記事を参考にしています!

お灸は、今から2千年以上前に中国ではすでに成立しており、現在まで脈々と受け継がれてきた治療法です。

灸療法で用いる、ヨモギから生成された艾(もぐさ)は、もともと厄払いなどで使われていたものが、痔の治療に燻蒸法などで用いられるようになり、やがて皮膚に乗せて燃やすようになったと考えられています。

灸療法が成立した当時、最新の医療であるお灸の治療を受けられるのは、王や貴族のみ。王の不老不死や長寿や世継ぎのために発展してきた医療の中の灸療法でした。

しかし、ヨモギはあらゆるところに自生していたので早い段階で一般庶民にも灸療法はあっという間に広まっていったようです。

ちなみに世界で最初に印刷された医学書は、唐の都長安で9世紀半ば頃に印刷された一般家庭向けのお灸の手引書の『新集備急灸経(しんしゅうびきゅうきゅうけい)』。

中国でははるか昔より、治療効果の高さから、王はもちろん貴族や一般庶民にまで取り入れられてきた灸療法。

現代の日本でも、自宅で簡単に、自分でできる最高のケア方法です。これをやらないのは人生損をしていると言っても過言ではありません。

今は自宅で簡単にできるようになりましたが、実は50年ほど前は、お灸の施術は高価なものでした。

当時の平均月給が約2,000〜3,000円であるのに対し、お灸はなんと約3,000〜4,000円! ちなみに同じような東洋医学としてとらえられる、鍼(はり)の施術料は約300円だったそうです。

それはなぜか?

お灸をすえる時、以前は練り炭でツボに印をつけていました。その炭の印があれば、自宅でお灸し続けられるというわけです。それが家伝の灸となり受け継がれていきます。また、先生に印してもらったツボにお灸をし続けることで、先生の施術に近い効果が持続し体調変化も早くなります。(体調の変化や、ツボがずれて効果がなくなってくるとまた鍼灸治療院へ行き、新たにツボに印をつけてもらいます。)

さあ、自分で簡単にできるお灸ケアで自分の身体を思うままにコントロールしませんか?

1  自宅で簡単!つらい12の症状に効くお灸のツボ

お灸の種類はたくさんありますが、まずは簡単・便利な台座灸を使ってみましょう!

用意するもの

■台座灸(初心者・敏感肌の方には、せんねん灸レインボー、moxa、せんねん灸アロマきゅうなどがオススメ)
お灸の準備1
■ライター(オススメはノズルが長いもの
■ゴミ入れ(灰皿、ゼリーカップなど)
■トレーやお盆など
お灸の準備2

お灸ケアのための準備を動画でご紹介!

実際のやり方

台座灸を使って、実際に自分でお灸をする方法はこちらの動画をご覧ください。

安全なお灸のやり方を動画でご紹介!

まずお灸をするツボを決めます。そして、ツボの位置が分からなくならないように、ポールペンや水性ペンなどで印をつけます。その印の上にお灸をします。

この章では、つらい12の症状別に、有効なツボをご紹介します。ツボの位置の写真と動画を見ながら、自分自身の身体でぜひやってみてください!

 

・鍼灸院やサロンなど施術してもらうのとは違って、自分でお灸ができる範囲は手足・お腹ぐらいと限られます。しかし有効なツボの組み合わせにしているので、少ない箇所でも効果がしっかりと得られます。

・台座灸でも、熱さのレベルは様々。最初は初心者向けの熱くないものを選び、慣れてきた、または熱感が物足りない場合は、徐々に熱いものに変えていくと良いでしょう。

1−1 自律神経失調症(だるい・しんどいなどの倦怠感)

だるい・しんどい・寝ても疲れが取れないという身体では、やる気があっても身体は思うように動いてくれません。そうするとマイナスのスパイラルに陥ります。

そうならないためにも是非お灸ケアを!!

足三里(あしさんり):万能のツボ、元気の基本は美味しく食事ができ栄養とエネルギーを作り出すこと。
<位置>膝外側の下、指4本分のところ。
足三里 
太衝(たいしょう):ストレスを緩和してくれるツボ。体内エネルギーの循環を良くしてくれるツボ。
<位置>足の指、第1指と第2指の間、水かきから足首に向かい骨と骨の間の止まるところ。
太衡 
関元(かんげん):臍下丹田ともいわれる場所。下腹に力がなければやる気があっても行動できません。
<位置>おへその下、指4本分のところ。
関元

1−2 頭痛(偏頭痛)

東洋医学ではどの場所に頭痛が出ているのかで頭痛を分類し用いるツボが異なります。

①側頭部痛(偏頭痛):側頭部を通る経絡は手の少陽三焦経と足の少陽胆経

足臨泣(あしりんきゅう):身体の側面の経絡の流れを良くしてくれるツボ。
<位置>足の第4指と第5指の間を足の甲へ上がり止まるところ、2本の骨の間の陥凹部。
足臨泣 
外関(がいかん):腕はもちろん、肩から首、側頭部までの経絡の流れを良くしてくれるツボ。
<位置>手の甲側、手首のシワの中心から肘に向けて上へ指3本分、やや外側。
外関 

②前額部痛:前額部を通る経絡は足の陽明胃経

足三里(あしさんり):胃経の流れを良くしてくれる万能のツボ。“上のものは下で取る”という治療原則に従い頭部の症状を下肢のツボで緩和する。
<位置>膝外側の下、指4本分のところ。
足三里 
合谷(ごうこく):頭顔面部の症状に対応するツボ、気の流れを良くしてくれ る。
<位置>親指と人差し指の間を手の甲側へ上がる、2本の骨の間の陥凹部。
外関 

③後頭部痛:後頭部を通る経絡は足の太陽膀胱経

崑崙(こんろん):頭から足の先まで流れている膀胱経をしっかりと流すためのツボ。
<位置>外側のくるぶしの頂点とアキレス腱の間の陥凹部。
後渓(こうけい):首の後面のコリや痛みを緩和してくれるツボ。
<位置>手を握るとできる小指側の手の平のシワの端。
後渓 

④頭頂部痛:頭頂部を通る経絡は足の厥陰肝経

太衝(たいしょう):足の先から頭頂部に繋がっているツボ。上部に上がりやすい陽気を下ろしてくれる。
<位置>足の指、第1指と第2指の間、水かきから足首に向かい骨と骨の間の止まるところ。
太衡 
合谷(ごうこく):頭顔面部の症状に対応するツボ、気の流れを良くしてくれる。
<位置>親指と人差し指の間を手の甲側へ上がる、2本の骨の間の陥凹部。
外関 

1−3 肩こり・首こり

①肩こり

慢性的な肩こりで苦しんでいる方は多いです。マッサージなどに行ってもすぐに元通りのガチガチの肩に。毎日仕事をしていてパソコン作業が多いとなおさら辛いものです。 ポイントはその日の疲れはその日のうちに!

合谷(ごうこく):頭顔面部の症状に対応するツボ、気の流れを良くしてくれる。肩こりにも有効。
<位置>親指と人差し指の間を手の甲側へ上がる、2本の骨の間の陥凹部。
外関 
外関(がいかん):腕の疲れを緩和。肩から首、側頭部までの経絡の流れを良くしてくれるツボ。
<位置>手の甲側、手首のシワの中心から肘に向けて上へ指3本分、やや外側。
外関 

②首こり

肩こりと同じくらい多いのが首こり。スマートフォンの普及により、頭を下に向いて見る時間が増加したことで以前よりも不調を訴える人が急増しています。首こりも肩こり同様放っておくと脳梗塞や脳溢血などの危険性も増すので要注意!

外関(がいかん):腕の疲れを緩和。肩から首、側頭部までの経絡の流れを良くしてくれるツボ。
<位置>手の甲側、手首のシワの中心から肘に向けて上へ指3本分、やや外側。
外関 
後渓(こうけい):首の後面のコリや痛みを緩和してくれるツボ。
<位置>手を握るとできる小指側の手の平のシワの端。
後渓 

1−4 不眠

今は小学生も不眠症になる時代、とても深刻です。
東洋医学的にみると、夜になると身体のエネルギーは陰気が旺盛になるところ、静まらない“陽気(活動する気)“が頭部に上昇することで、脳が覚醒したままで眠れない状態に。

体内の陽気が盛んにならないように、就寝前にテレビ、スマホ、PCなどを見ない、触らないようにすることも大切です。

太衝(たいしょう):足の先から頭頂部に繋がっているツボ。上部に上がりやすい陽気を降ろしてくれる。
<位置>足の指、第1指と第2指の間、水かきから足首に向かい骨と骨の間の止まるところ。
太衡 
合谷(ごうこく):頭顔面部の症状に対応するツボ。太衝と同じく上がる気を下に降ろす作用あり。
<位置>親指と人差し指の間を手の甲側へ上がる、2本の骨の間の陥凹部。
外関 
失眠(しつみん):名前の通り不眠のための特効穴。
<位置>足の裏、かかとのちょうど真ん中。

1−5 冷え性

最近では男性にも多い冷え性。冷え性は他の症状にも影響します。体温が0.1度低くなると免疫が20%も落ちると言われているくらい。根気よくお灸を続けることと、食事に気をつけることで冷え性は改善していきます。しっかり冷え性を改善して快適な毎日を手に入れましょう!

三陰交(さんいんこう):冷え性のツボ。懸鐘と組み合わせることで効果がアップ。
<位置>内側のくるぶしから膝に向けて上へ指4本分、骨の際。
三陰交 
懸鐘(けんしょう):骨髄に関係するツボ。骨の芯から温まると良い。三陰交と組み合わせることで効果がアップ。
<位置>外側のくるぶしから膝に向けて上へ指4本分、骨の前。

懸鐘 

1−6 生理痛

生理痛のある女性にとって毎月の生理はかなり憂鬱なもの。ひどい場合には毎月鎮痛剤を飲まないと過ごせないことも。これではQOL(生活の質)が低すぎ辛いです。婦人科を受診し器質的に問題がなければお灸でしっかりケアし鎮痛剤から解放されませんか?

太衝(たいしょう):肝経のツボで、肝経は生殖器と繋がっているのでダイレクトに刺激が入る。
<位置>足の指、第1指と第2指の間、水かきから足首に向かい骨と骨の間の止まるところ。
太衡 
三陰交(さんいんこう):婦人科疾患の大切なツボの一つ。
<位置>内側のくるぶしから膝に向けて上へ指4本分、骨の際。
三陰交 
関元(かんげん):身体の真ん中を走る任脈という経絡のツボ。任脈は子宮から始まっている。子宮関連の疾患にはとても大切。
<位置>おへの真下、指4本分。
関元

1−7 不妊

不妊症で悩んでいる方々の中に、冷え性持ちはたくさんいらっしゃいます。まずは体の冷えを取り除き、妊娠・生殖に関する経絡やツボを活性化するようにします。
婦人科の検査で特に疾患がないのであれば東洋医学的な妊活がオススメです。

太衝(たいしょう):肝経のツボで、肝経は生殖器と繋がっているのでダイレクトに刺激が入る。
<位置>足の指、第1指と第2指の間、水かきから足首に向かい骨と骨の間の止まるところ。
太衡 
三陰交(さんいんこう):婦人科疾患の大切なツボの一つ。
<位置>内側のくるぶしから膝に向けて上へ指4本分、骨の際。
三陰交 
血海(けっかい):血海とは東洋医学で子宮を指す。婦人科疾患の大切なツボの一つ
<位置>膝の内側上角から上へ指3本分。
血海 
関元(かんげん):身体の真ん中を走る任脈という経絡のツボ。任脈は子宮から始まっている。子宮関連の疾患にはとても大切。
<位置>おへその下、指4本分のところ。
関元

1−8 ダイエット

代謝を上げることはもちろん大切ですが、東洋医学的には消化器系の働きが低下すると食欲のコントロールができないととらえています。それらに関係するツボを同時にケアしつつ、食事のコントロールや散歩など取り入れると相乗効果が期待できます。

足三里(あしさんり):万能のツボ、元気の基本は美味しく食事ができ栄養とエネルギーを作り出すこと。胃の働きを良くするツボ。
<位置>膝外側の下、指4本分のところ。
足三里 
隠白(いんぱく):消化吸収の働きを良くするツボ。
<位置>足の親指の爪の内側の角から少し皮膚面へ。
隠白 
血海(けっかい):東洋医学で「血海」とは子宮のこと。婦人科疾患にはもちろん、ツボの性質から急性の下痢にも用いる。
<位置>膝の内側上角から上へ指3本分。
血海 

1−9 眼精疲労

仕事上でのパソコン作業、スマートフォン、ポータブルゲームなどで目を酷使する時間が増えているので眼精疲労が出てもおかしくありません。その日の疲れはその日のうちにしっかり取り除きましょう!

少沢(しょうたく):ツボの流れが、腕から肩首へ、耳に入り最後目と繋がっている。
<位置>小指の爪の外則の角から少し皮膚面へ。
少沢 
太衝(たいしょう):肝経のツボ。視力低下やドライアイなど目に関係する臓腑は肝。
<位置>足の指、第1指と第2指の間、水かきから足首に向かい骨と骨の間の止まるところ。
太衡 

1−10 便秘

便秘で悩んでいる人は非常に多いです。一昔前までは便秘といえば女性の専売特許だったはずが、最近では男性の便秘も増えています。食べる食材にこだわることも大事ですが、体内に不要になったもの(=かす)をしっかり出すことの方がより重要です。

天枢(てんすう):胃経のツボ
<位置>おへその左右外側へ指3本分。
天枢
上巨虚(じょうこきょ):胃経のツボで便秘の特効穴。
<位置>足三里の下、指4本分。
上巨虚 
澤田流神門(さわだりゅうしんもん):昭和初期に活躍した治療家澤田健先生の経験上のツボ。
<位置>手の平側の手首のシワの小指側の端から手の甲側へ1本スジを隔てたところ。
澤田流神門 

1−11 腰痛

日本人の腰痛持ちは30万人とも言われていますが、その8割は原因不明。腰は身体の中でも中心となる場所で、腰に不調があると身体全体のパフォーマンス力が低下します。お灸はあくまでも予防や緩和。

関元(かんげん):臍下丹田ともいわれる場所。下腹に力がなければやる気があっても行動できないです。
<位置>おへその下、指4本分のところ。
関元
腰痛点(ようつうてん):ぎっくり腰、腰痛の特効穴。
<位置>手の甲側、第2第3指の骨と骨の間の陥凹部、第4指と第5指の骨と骨の間の陥凹部。押して痛い方。
腰痛点 

1−12 勃起不全

精神的な部分も大きいですが、東洋医学的には生殖器に関係する臓腑やツボなどの機能低下が考えられます。

関元(かんげん):臍下丹田ともいわれる場所。下腹に力がなければ勃起不全につながることも多い。
<位置>おへその下、指4本分のところ。
関元
太衝(たいしょう):肝経のツボで、肝経は生殖器と繋がっているのでダイレクトに刺激が入る。
<位置>足の指、第1指と第2指の間、水かきから足首に向かい骨と骨の間の止まるところ。
太衡 
照海(しょうかい):腎経のツボ。澤田流太渓。東洋医学で腎の大切な働きの一つが生殖のコントロール。腎・腎経が弱いと勃起不全につながる。
<位置>内側のくるぶしのすぐ下、骨の際。
照海 

2 お灸の歴史と種類

2−1 お灸の歴史

お灸の誕生

お灸の歴史_2

諸説ありますが、お灸の誕生は、お灸に用いる艾(もぐさ)の原材料であるヨモギ(キク科の多年草)が中国の広範囲に自生しており、最初は厄除けとして用いられていたのが、肌にかざすと温かいことから次第に皮膚にのせ燃焼させるようになったと考えられています。

時代を経るごとに、様々な灸法が生まれ継承され・発展してきました。

中国で外科的治療として始まったお灸

前漢初期(約2200年以上前)の馬王堆・張家山漢墓(まおうたい・ちょうけざんかんぼ)の出土医書にはすでに灸に関する記述があります。

医書『五十二病方(ごじゅうにびょうほう)』では主に外科的処置に用いられており、「イボには、ぼろぼろのガマ製のむしろ、または敷物の若い葉を取って縄をない、すぐにその端を燃やして、それでイボの先に灸をすえる。熱くなったら、すぐにイボを引き抜いて取り去る」という記述があるのです。現在でもイボ取りにお灸を用います。

当初、灸療法は王族・貴族のものでしたが、庶民にも馴染みのあるヨモギを用いるお灸が庶民の生活の一部になっていったことが詩集や年間行事記に残されています。

中国最古の詩集で春秋時代中期(紀元前500年ごろ)までの詩を収める『詩経(しきょう)』や、戦国時代(紀元前300年ごろ)の楚の詩歌集『楚辞(そじ)』などに灸に関する記載が見られます。

東晋時代(317〜419)の『肘後救卒方(ちゅうごきゅうそつほう)』は一般庶民の健康維持や病苦救済のための救急ハンドブックであり、その方法は全て灸法です。

五世紀後半の『小品方(しょうひんほう)』は唐時代(618〜906)に国定医学教科書に採用され、日本にも伝わり平安時代に医方書の首位の座を占めた書です。その末巻に灸法が付されていたことから、当時日本でも灸法が重んじられていたことがうかがえます。

唐時代(618〜906)の『千金翼方(せんきんよくほう)』には灸法が多く記され、風邪を防ぐには灸が最要であると灸の効能が強調されています。

北宋時代(960〜1126)の『太平聖恵方(たいへいせいけいほう)』には小児の灸法も記されており、南宋時代(1127〜1279)の『扁鵲心書(へんじゃくしんしょ)』には、“病がない時も常に腹部にお灸すると長生きできる”と養生のためのお灸が紹介されています。

昔もそうでしたが、明時代(1368〜1643)の『本草綱目(ほんぞうこうもく)』には艾(もぐさ)は、久しく置いたもの(熟艾)が良く、新しい艾(生艾)は肌を傷める(いためる)とあります。

その後も、多くの医家が灸法に関する研究と臨床を続け様々の医書の中で灸法について記し、今日まで継承されてきました。

奈良時代にはすでに日本に伝来

日本には、五世紀に朝鮮半島の新羅(しらぎ)や百済(くだら)から医師や薬師(くすし)が渡来し医を伝えたとされていて、その後701年に制定された大宝律令(たいほうりつりょう)で医療制度が整いました。

奈良・平安時代以降、お灸が広く用いられていたことが公卿(くぎょう:朝廷に仕える人の中でも上位の人)の日記などからうかがうことができます。

室町末期から安土桃山時代に活躍した医家の曲直瀬道三(まなせどうざん)は灸法を重視し、著書の中でも灸に関する記載が多く、例えば現代でも小児の疳の虫(かんのむし)の施術に用いられる「チリゲの灸(散気の灸)」についても記しています。

江戸時代には一般庶民の生活に広まったお灸

お灸の歴史_1江戸時代には、多くの医家により様々な灸法が活用され多種多様な灸治に関する医書が著され、江戸時代中期には灸は独立分科し「灸科」と称されるようになりました。

一般庶民向けの仮名書きの啓蒙書『養生訓(ようじょうくん)』で有名な、貝原益軒(かいはらえきけん)は健康維持のために足三里のツボに毎日お灸することを紹介、啓蒙していました。

松尾芭蕉の『奥の細道』にも、「・・・笠の緒付けかえて、三里に灸すゆるより、松島の月先心にかかりて、・・・」という足三里にお灸をすえる様を記した文があり、江戸時代には一般庶民の間でもお灸が身近であったことがうかがえます。

小児へのお灸も普及しており、施灸される様が描かれた画もいくつかあります。

明治・大正・昭和中期まで一般庶民にとって身近なものであったお灸が、昭和中期以降「悪さをしたら灸をすえる!」という意味合いが強くなったのか、熱い「やいと」は敬遠されてきた傾向にあります。

しかし平成の世で、またお灸が注目を集めるようになりました。ここ数年テレビで「温活」する「お灸女子」が取り上げられたり、芸能人が「妊活」のセルフケアにお灸をすえる様子を紹介したり、お灸製品も女性に受けるパッケージやアロマ的要素も取り入れた商品が出てきたことで、いままた人気が出てきています。

お灸が生まれた国・中国。お灸のルーツやしくみ・効果をもっと深く知るなら中国語を学ぶのもおもしろいかもしれません。使える中国語を最短でマスターする動画を、期間・人数限定でプレゼントしています。いますぐこちら【無料中国語レクチャー】をぜひ体験してください。

2−2 お灸の種類

直接灸

有痕灸(皮膚に痕が残る) 
透熱灸
(とうねつきゅう
最上級艾を用い、皮膚に熱を通す目的で燃やしきる
形は円錐形、大きさは米粒大・半米粒・糸状が一般的
焦灼灸
(しょうしゃくきゅう)
イボ・魚の目などの皮膚の再生を目的とし病的組織を焼き焦がす
打膿灸
(だのうきゅう)
親指の爪大の艾(もぐさ)を燃やし切り、生体の免疫力を高めるためにその灸痕の化膿を促す
無痕灸(皮膚に痕が残らない) 
地熱灸
(ちねつきゅう)
艾(もぐさ)を燃やし熱感を感じたら取り除く、艾の大きさはさまざま(親指の爪大、米粒大など)
七分灸、八分灸、九分灸など

間接灸

隔物灸 皮膚の上にしょうがなど下記のものをのせ、その上に艾をのせて燃焼させる
しょうが灸、にんにく灸、塩灸、味噌灸など
温灸 皮膚から離した箇所で艾を燃焼させ、輻射熱でツボや患部に温熱刺激を与える
台座灸、棒灸、箱灸、温灸器など
その他 押し灸(ビワの葉灸)、墨灸、うるし灸など
お灸の種類 お灸の本

3 お灸と他の健康関連アイテムとの比較

3−1 お灸と健康補助食品の比較

・お灸(せんねん灸アロマ灸・レインボー)…1個約20円。1日の使用量約12個で約240円。
・にんにく卵黄…1日1粒で約44円
・青汁…1日1包で約120円
・マルチビタミン…1日約13円

金額だけで比較するとお灸が高くなりますが、健康補助食品の場合はそれを飲んですぐに体調が良くなるものでもなく、良いのかどうかもかなり個人差があります。

お灸の場合、症状にあったツボにお灸をすえることで確実に身体は変化していきます。もちろん毎日すればツボの反応も良くなり、体の変化を自覚できるようになります。

3−2 お灸と健康器具の比較

・お灸(せんねん灸アロマ灸・レインボー)…1個約20円。1日の使用量約12個で約240円。
・全身ストレッチグッズ(ビューティーシェイプストレッチャー)2,980円…1年間、毎日使用で1日約8円。

イモタニ(IMOTANI) ビューティーシェイプ ストレッチャー

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・温熱電気マッサージ器(ネックマッサージピロー)8,424円…1年間、毎日使用で1日約23円。

ルルド ネックマッサージピロー
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・家庭用エアマッサージ器(フットマッサージャー「マシュア」)24,275円(税込)…1年間、毎日使用すると1日約68円。

フジ医療器 マシュア AM-30 エアーマッサージャーF
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・マッサージチェア(フジ医療器マッサージチェア 「CYBER-RELAX(サイバーリラックス)」)314,800円…1年間、毎日使用すると1日約862円。

フジ医療器 マッサージチェア ブラックCYBER-RELAX(サイバーリラックス) AS-1000BK
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健康器具を使うと気持ちが良い反面、その時々の身体の状態に対して常に良いとは限りません。またマッサージ器具を使うとついつい長い時間やってしまいがちですが、やり過ぎると逆効果のこともあります。

その点、自分の症状に対応するツボを用いるお灸は的確な刺激を身体に与えてくれるので、継続することにより自分自身で身体の変化を感じやすくなります。

4 お灸が身体に効くしくみ

4−1 お灸とツボ(経穴)の関係

お灸をすえる箇所は経穴(けいけつ=ツボ)ですが、ツボといっても多くの種類があります。ツボによってお灸の効果が高い場合と、そうでない場合があります。

経穴(正穴)
(けいけつ・せいけつ)
十四経脈(十二経脈と任脈・督脈)上にあり、位置が定まっている
奇穴
(きけつ)
十四経脈(十二経脈と任脈・督脈)上になく、他のツボとの関連がなく独立したツボで、位置と主治が定まっている
新穴
(しんけつ)
1901年以降に定められたツボ
阿是穴
(あぜっけつ)
押さえて痛気持ち良いところ、圧痛点でもあり治療点となる
禁忌穴
(きんきけつ)
鍼やお灸をしてはいけないツボ

経絡(けいらく)と経脈(けいみゃく)

*経絡(けいらく)・・・経は、経脈のことで「縦糸」を意味する。絡は、絡脈のことで「つながる」「からまる」などの意味を持ち経脈と経脈を連絡すると考えられている。

*経脈(けいみゃく)・・・ツボとツボを結ぶ線で正経十二経脈(せいけいじゅうにけいみゃく)と奇経八脈(きけいはちみゃく)があります。

正経十二経脈と奇経八脈

*正経十二経脈・・・走行には方向性があり、その流れを流注(るちゅう)という。それぞれの臓腑とつながっている。
・手の三陰(手の太陰肺経、手の少陰心経、手の厥陰心包経)
・手の三陽(手の陽明大腸経、手の太陽小腸経、手の少陽三焦経)
・足の三陰(足の太陰脾経、足の少陰腎経、足の厥陰肝経)
・足の三陽(足の陽明胃経、足の太陽膀胱経、足の少陽胆経)

*奇経八脈・・・正経十二経脈の側溝のような存在。独自のツボは持たず、正経十二経脈のツボを借りて走行。
(督脈、任脈、衝脈、帯脈、陽蹻脈、陰蹻脈、陽維脈、陰維脈)

4−2 お灸と経絡流注の関係

ツボにお灸をすえることで、温熱刺激が加わり経脈の走行に沿ってある肌や筋肉の状態に影響するだけでなく、関係する臓腑にまで影響します

流注(るちゅう)は皮膚表面のツボとツボを結ぶ流れと、体表から体内に入り関係する臓腑にまとわりながら次の経脈へと連なる。

症状のある箇所にお灸をしなくても、経絡流注(るちゅう)の走行上であれば全く違う場所にお灸をしても症状が変化するのです。

例えば、偏頭痛に足の甲へのお灸、鼻づまりに足三里にお灸、喉の痛みに指先へのお灸など、です。

4−3 お灸が心身に効くしくみ

お灸の特徴的な効能は3つ。増血作用・止血作用・免疫作用です。

  1. 増血作用…赤血球を増やし、血流を良くする
  2. 止血作用…血小板の働きを良くし、治癒の促進を促す
  3. 免疫作用…心機能を亢進させたり、血管の収縮力を増強

その他、艾(もぐさ)の独特な香りに懐かしさや心地良さを感じることで、リラッックス効果も上がります。実際、患者さんが「おじいちゃん/おばあちゃんちの香り」とか「お寺にいるみたいで落ち着く」「もぐさの香りにホッとする」などとおっしゃいます。

東洋医学では心身一如という思想があり、これは「肉体は精神により支配され、精神は肉体によって支えられる」という考えで、心と身体はひとつで切り離すことはできないのです。

臓腑と感情はそれぞれ関連しています。例えば「心は喜び」、「肝は怒り」、「脾は思い」、「肺は憂い」、「腎は恐れ」です。

つまり、身体を整えると自ずと心(感情)も整うのです。(※西洋医学の内臓と名称が同じでも、解釈が少し違うところがあります。)

身体のバランスが取れ、血行が良ければ、感情の起伏も落ち着いてきます。

このように、家でお灸をするだけで、自分自身でも心身をケアすることができるのです。

5 まとめ

簡単に自分でできるお灸、お灸の歴史、お灸の効能などについての記事はいかがでしたか。お灸のイメージが変わった!と言って頂ければとても嬉しいです。

日々患者さんと接していて感じることは、家でお灸を続けている人は身体の変化が違うということです。個人差はかなりありますが、全くしない人とでは雲泥の差です。

「どこか調子が悪いからお灸をする」から「健康維持のためのお灸をする」に皆さんの意識改革が起これば、大げさでなく人間関係も良くなりますし、学校や職場でのパフォーマンスも良くなります。

自分の体はどんな状態なのか、どこにお灸をすればベストなのか知りたい方はぜひ鍼灸師を訪ねてみてください。

ただ、鍼灸師でも全くお灸をしない先生もいるので確認が必要です。

この記事をきっかけに、お灸の力で心も身体も元気になってイキイキとした毎日を過ごしてください!!

執筆者プロフィール
佐々木友子(はりきゅうメリディアンケアサロンRuyi院長 ホームページFacebook%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9517
19歳の時に2度のアキレス腱断裂を経験(1か月で2度!)し、退院後のつらい時に鍼灸治療を受けたのをきっかけに鍼灸師を目指す。
大学卒業後、専門書を原文で読めるようになりたいという想いから中国浙江省杭州へ語学留学、その後台湾台中で就業。帰国後、北京中医薬大学日本校に入学。当時、最高レベルの教授陣から本場の中医学を中国語と日本語で学び国際中医師の資格を取得。日本で就業できるように鍼灸専門学校へ、鍼灸師の資格を取得。その後鍼灸教員資格も取得。
専門学校で、教員補助 →非常勤講師 →専任教員 →非常勤講師として鍼灸師育成に携わる。
東京・大阪でお灸教室を開催。

【参考図書】 ・『中国医学の起源』山田慶兒(岩波書店)  ・『中国医学はいかにつくられたか』山田慶兒(岩波新書)  ・『針灸の歴史: 悠久の東洋医術』小曽戸洋・天野陽介(あじあブックス大脩館書店)  ・『鍼灸OSAKA NO.111「お灸の再生』(森ノ宮医療学園出版部)  ・『新版 東洋医学概論』(医道の日本社)  ・『新版 経絡経穴概論』医道の日本社

 

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