中国語発音の母音|種類、効果的な勉強法、おすすめ教材

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日本人が中国語を勉強する際、大きな壁となるのが発音です。単語や熟語、文法をきちんと理解していても、発音が正しくないと中国語は通用しません。

たとえば、日本語の「あいうえお」に当たる母音は中国語では36個存在します。日本語とは異なるアクセントや舌の使い方、唇の形、息の吐き出し方を求められるため、継続して訓練することがとても大切です。

現在、中国語トレーナーとして、多くの学習者の方と触れ合う私S.N(広州生活3年・HSK6級)も、特に学習初期の段階で口酸っぱくお伝えするのがこの発音習得の重要性です。ここをうまく乗り越えられると、話すことへの抵抗がなくなり、逆にどんどん「話したい」という気持ちが育つことで、学習全体の効率があがってゆきます。実際、基礎発音の練習を繰り返し、自分の発音に自信をつけ、中国人とコミュニケーションを深めてゆかれる方を、何人も目にしてきました。

この記事では、これから中国語の発音を勉強しよう!と考えている方向けに、まず「発音を覚えることが重要な理由」と、発音の中でも特に「36種類の母音」について、詳しく解説します。発音の大切さが分かったところで、効率よく発音勉強を進める方法も合わせてお伝えします。

最大の難関でもある発音をクリアし、中国語の勉強をより効果的に進めていきましょう。

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1. 中国語の発音には母音と子音、声調がある

そもそも母音とは、舌や唇によって、息が遮られずに喉の奥から出る音のことです。試しに「あいうえお」と言ってみましょう。口の中で舌や唇が一度も触れ合わないことが分かりますね。

日本語では「あいうえお」に、たとえば子音である「k」がくることで「か(ka)」と発音でき、全部で50種の音が存在します。

「では、中国語はどのように音ができあがっていくの?」と感じた方もいるでしょう。この疑問点がまさに、発音を重点的にマスターしたい理由でもあるのです。

【中国語の子音とは?】
21個の子音について詳しく解説しています。母音の発音と一緒に覚えましょう!
中国語の発音|子音を効率よく覚えるコツ・練習法・教材まとめ

1-1. 中国語には約1300もの音がある

中国語には韻母と呼ばれる母音が36個、声母と呼ばれる子音が21個あり、この組み合わせによって約400もの音が存在します。この時点で、日本語よりもはるかに多くの音を組み合わせて、言葉を発音していることが分かりますね。

さらに、ここに声調という4種類の音程の上げ下げが含まれるため、すべての発音は約1,600通り(厳密には1300くらい)にもなります。

【中国語の基礎・発音】
声調(四声)、ピンインの基礎、発音の効率的な練習方法をまとめました。
中国語の発音基礎|効果的なトレーニング方法|動画・音声付

1-2. 日本人がつまづきやすいのは発音

日本語の50音に比べると、1,300音という中国語の発音はとても種類が多く感じられます。また、そもそも日本語には存在しない発音、日本人になじみのない唇の使い方や舌の動かし方もあります。そのため、中国語を学習する日本人にとって、大きな壁のひとつが「発音」なのです。

しかし、日本人には、中国語学習を進める中で大きなメリットがあります。それは「漢字を知っている」ということ。漢字の知識をすでに持ち、文章の中で単語を組み立てられる日本人は、発音という壁さえ乗り越えることができれば、その後の学習を効率的に進めてゆくことができます。

だからこそ、学習初期の段階から「発音」に力を入れて取り組むことが重要なのです。

中国語を学び始めた当初、私自身が最も力を入れたのも、この「発音の練習」でした。教材の音源を聞いて、その音に近づけるように反復する。自分が練習している様子を動画で撮影、チェックし、具体的に口のどの部分がお手本と違うのかを確認しました。そうして微調整を重ねて練習を続けること数カ月。ようやく少しずつ「お手本と同じような音」が自分の口から出るようになってゆきました。はじめのこの数カ月はまさに基礎練習の日々!高校時代、陸上部で毎日まいにち走り込みをしたことを、ふと思い出すような時間でした。

地道で先が見えないと感じることもありましたが、今思えば、初期の段階で徹底的に発音に向き合ったことが、その後の中国語学習を支えてくれたと感じています。

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2. 中国語にある36種類の母音

中国語勉強の壁になってしまう前に、発音を克服したいあなたへ。2章では「36種類の母音」について詳しく紹介します。

まず母音は、大きく二つに分類されます。ベースとなる単母音と、これらが組み合わさった複合母音です。さらに、複合母音は発音の特徴によって、二重母音と三重母音などに分かれており、はじめは複雑に感じられますが、音の仕組みを理解することで、これらの発音を覚えやすくなります。

また、それぞれの音は、舌の位置や唇の形によっていくつかのグループ分けがなされています。こういった点からひとつずつの音を見ることで、それぞれの違いも意識でき、結果的に、頭の中で中国語の音が整理されてゆきます。

この章の中の表で※がついている箇所は、日本語にはない発音を表しています。日本人にとっては覚えにくい音ばかりなので、練習では※印を集中的にチェックしましょう。

2-1. 6つの単母音

単母音は母音一つで発音する音で、表の一番上にある「a」が口を最も大きく開け、下に行くにつれて次第に小さくなっていくようなイメージです。

ピンイン 単母音
a 日本語の「ア」より口を大きく開けて、明るくはっきり「アー」
o 日本語の「オ」よりも唇を丸く突き出して「オー」
e ※「エ」の口で小さく「オ」という。のどから音を出す
i(yi) 子供が「イーだっ」という時の「イ」
u(wu) ※日本語の「オ」の舌の位置で「ウ」という
ü(yu) ※「ユ」の口で「イ」という。横笛や草笛を吹く時の唇の形を作る

【単母音の動画】

ネイティブと日本人講師が、口元の動きも含めて単母音の発音を詳しく解説しています。ぜひ動画を見ながら練習してみてください。

2-2. 9つの二重母音(複合母音)

単母音が並んだ複合母音の中でも、2つの母音が組み合わさり、切れ目なく発音されるものを二重母音といいます。さらに1つ母音が増え、3つの母音が組み合わさって切れ目なく発音されるものを、三重母音といいます。

ピンイン >型(しりすぼみ型)二重母音
ai 日本語の「アイ」とほぼ同じ。aの口を大きく
ei 日本語の「エイ」とほぼ同じ。複母音のeは「エ」の音になる
ao 日本語の「アオ」とほぼ同じ。「ア」をはっきりと
ou 日本語の「オ」。「ウ」の時も舌は「オ」の位置で下がったまま

上記の表は二重母音の中でも、頭にアクセントがあり発音の最後がだんだん弱くなっていく「>型(しりすぼみ型)」)だけをまとめた表です。

表に※印がないことからもわかるように、日本人にも発音しやすい音がたくさんあります。まずは下記の動画で、どんな音があるのかチェックしてみましょう。

【複合母音(二重・三重)の動画】

動画でネイティブと日本人講師が「二重母音」を徹底解説!発音の特徴を頭で理解しながら練習してみてください。

ピンイン <型(発展型)二重母音
ia(ya) ィアー
口を横にひく「i」から「ア」になめらかにつなげる
ie(ye) ィエー
口を横にひく「i」から「エ」になめらかにつなげる
ua(wa) ゥアー
口をすぼめて丸く突き出した「ウ」の口から「ア」になめらかにつなげる
uo(wo) ゥオー
口をすぼめて丸く突き出した「ウ」+「オ」
ü e(yue) ※口をすぼめて「ュエー」に近い音

二重母音には、後ろにアクセントがあり、段々強くなっていく「<型(発展型)」もあります。こちらも「>型(尻すぼみ型)」と同様に、日本人でも発音しやすい音が多くあります。

ただし一番最後の「 ü e(yue)」は単母音の「e」と発音が異なるため要注意です。繰り返し動画をチェックして正しい発音を身に着けましょう。

2-3. 4つの三重母音(複合母音)

三重母音は、単母音が3つ合わさって形成された音です。単体で見ると母音ですが、組み合わさることで発音が変化します。特に「e」は単母音では『「エ」の口で小さく「オ」という』イメージで発音しますが、複合されると日本語の「エー」に近くなります。

ピンイン 三重母音◇型(ひしもち型)
iao(yao) 真ん中の「a」を強く前後の音は軽く添えるイメージ
iou(you) ※真ん中の「o」を強く前後の音は軽く添えるイメージ
uai(wai) 「ゥアイ」 真ん中の「a」を強く前後の音は軽く添えるイメージ
uei(wei) ※「ゥエイ」真ん中の「e」を強く両脇の音は軽く添えるイメージ

日本語ではなじみの薄い発音が多いため、繰り返し耳で聞いて、動画などで口の形をチェックしながら発音してみましょう。

2-4. 16の鼻母音

母音の中でも日本人にとって特に難しく感じられるのが、この鼻母音です。

鼻母音とは、「単母音」と、「n」または「ng」の組み合わせで構成されている音のこと。「n」と「ng」で終わる音は日本人にはほぼすべて「ん」に近い音に聞こえてしまうほどですが、中国語では明確に別の発音と認識されています。

ピンイン 鼻母音
an 「a」は口を大きく開けて。「n」で舌を上あごにつける。「案内」の「アン」
ang ※「案外」のアン。口を開けっ放しにしたまま「ng」というと、鼻音になる
en ※「アン」と「エン」の間くらいの音。「n」で舌を上あごにつける
eng ※単母音の「e」+「ng」 「エン」にならないように。あいまい母音の「e」
ong ※口を開けっ放しにして、しっかりと鼻音を出す
ian(yan) ※口を大きく開けて。「イェン」「イァン」ではないので注意
iang(yang) 「イアン」に近い。口を大きく開けっ放しで
in(yin) 唇をしっかり横にひき、「印刷」の「イン」
ing(ying) 唇をしっかり横に引き、鼻音を意識する
iong(yong) ※「ヨン」ではなく「イオン」に近い。口は開けっ放しで
uan(wan) ※口をすぼめて丸く突き出した「ウ」+「案内」の「アン」。「ウアン」の「ア」を強く出すイメージ
uang(wang) 「ウァン」に近い音。口は開けっ放しで
uen(wen) ※口をすぼめて丸く突き出した状態で「ウ」+「エン」
ueng(weng) ※「ウオーン」に近い音。口は開けっ放しで
üan(yuan) ※口をすぼめて丸く突き出した状態で「ユェン」
ün(yun) ※「ユィン」に近い音で「ü 」+「n」。「ü 」の後、舌先を上の歯の根元近くに押し付けて「n」を発音する

表を見ていくと、似たような口の形や音が多いと思うかもしれません。まずは「n」で終わる音と「ng」で終わる音の特徴をそれぞれ理解することから始めると良いでしょう。2つの音の違いは、言い終わった時の舌の位置にあります。以下、ポイントをまとめました。

鼻母音「n」と「ng」の違いとは?

「n」の音は、日本語で近い音を探すと「案内」や「安静」と言うときの「ん」に近いです。「ん」と言い終わった後の、舌の場所を確認してみてください。舌が上あごについていることがわかりますね。「n」を発声するときも同じく、舌を上あごにつけ、口から出る息を遮断し、鼻から息を出します。例えば「n」で終わる鼻母音「an」は、舌を上あごにべったりとつける音です。

「ng」
は、日本語の「あんこ」や「案外」と言うときの「ん」に近いです。「ん」と発音したときの舌は、口内のどこにもついていません。「ng」を発音するときは口を開けっ放しにしたままで、鼻から抜ける息をしっかりと感じましょう。例えば「ng」で終わる鼻母音「ang」は舌先がどこにもつかず、口を大きく開けっ放しにして終わる音です。

難しい発音は、ぜひ日本語に置き換えて、確認しながら覚えましょう。

他にも、子音が前につくかつかないかで音が微妙に変化します。次の動画で繰り返しチェックしながら、2つの音の違いを聞き分けられるように、練習してみましょう。

【複母音・鼻母音の動画】

3. 母音の発音の効率的な勉強方法

発音を覚えることの大切さは理解できても、いざ机に向かうと「どうやって勉強すればいいの?」「まずは何から手を付けるべき?」と悩んでしまう方も多いかもしれません。

そこでここでは、効率よく勉強するための4つの勉強法を解説します。

3-1. ピンイン表を使って練習

日本人が中国語を学ぶ際にお世話になる「ピンイン表」は、中国語の発音をアルファベットになおしたもの。日本語の五十音表のようになっています。この表を完全に覚えることが出来れば、たとえはじめて出会う単語でも、読み方をある程度推測できるようになります。

また表の形になっているため、自分が苦手な音や発音しづらい音をピックアップしてチェックしやすく、繰り返し練習する際にも有効です。

下記のページでは、声の上げ下げである4種類の声調も含めたピンインが確認できます。クリックすると音声ファイルが再生され、さらに列別に発音を聞き流せる「列トレ」にも取り組めます。ぜひ活用してみてください。

参考:中国語発音【声調別音声付き】ピンイン表(音節表)はこちら!

3-2. 発音を聞く・リスニングの練習

すでに「勉強をスタートしている」人は、発音を聞く機会を持つようにしましょう。

教材は音声付きのもの(ダウンロードできる、またはDVDやCDが付属している)がおすすめです。ネイティブの発音を繰り返し聞きながら声に出すことで、正しい発音が身に付きます。

また自分の声を録音してみるのも効果的な学習法です。なぜ録音するのかというと、ネイティブの音と聞き比べることで、自分の癖や発音の間違いに気づきやすくなり、独学でも正しい発音を習得しやすくなるからです。

この時、録音と再生を繰り返すため、ICレコーダーを用意すると、なお便利です。スマホのアプリでも代用は可能ですが、すぐに取り出して勉強する訳にはいかなかったり、スマホの容量を圧迫してしまったり…。不便な面もあるため、ICレコーダーを別途持つことをおすすめします。

こちらの記事もおすすめ!リスニング力をアップさせるためのポイントとは?
中国語のリスニングをマスター!効率よい勉強法やおすすめ教材

3-3. 口の形を覚える

発音を練習していても、舌を上手に使えていない、唇の形がマネできていない、といった原因で発音の練習がうまくできていない場合があります。

もし、これから教材を選ぶなら「音声付」であることはもちろん、発音時の口の形や舌の位置がはっきりと写っている写真が付いた教材を選ぶようにしましょう。文章だけを頼りに、具体的な口の形をイメージしようとしてもなかなか難しいものです。その点、口の形が大きく見える教材なら、目からの情報が助けとなって、発音練習もより効果的に行うことができます。

まずは徹底して口の形をマネすることからスタートです!練習する際には、手鏡をそばに置き、自分の口の形が教科書通りになっているかをこまめに確認しながら繰り返し特訓しましょう。最終的な目標は、ピンイン表を見ただけで、その音を正しく発音できる口の形が作れるようになること。動画や手鏡を活用し、工夫して練習を続けていきましょう。

3-4. 動画を使って学ぶ

まとまった時間がなかなかとれない方には、動画を使った学習もおすすめ。音声で発音を聞けるだけでなく、口の形や実際の動きまでを真似することができます。

ここではおすすめの動画コンテンツを2つ紹介します。

<発音を効率よくマスターできる教材>

動画教材『見てマネ60』は、1日30分の発音トレーニングを60日間、勉強を積み重ねるとネイティブに通じる発音が身につきます。短い期間で効率よく身につくプログラムなので、忙しい方でもスケジュールが組みやすいことがメリットです。

中国語をどのように発声するか、口の開き方・舌の使い方・息の出し方を日本人トレーナーが丁寧に解説。その上でネイティブの発音を聞き、トレーニングする流れで、効率よく学べる仕組みになっています。

中国語の初心者の方だけでなく、もう一度正しい発音を学びなおしたい方にもおすすめ!教材の詳しい説明はこちらの動画をご覧ください。

 

<フルーエント中国語学院 YouTube動画>

フルーエント中国語学院 YouTube動画

通勤通学時間を活用したい人、短期間集中で勉強に取り組みたい人におすすめのYouTubeチャンネル。短いものは3分、長くても15分程度で、発音以外にも様々な中国語学習に関する動画がそろっています。

まとめ

中国語の学習で最も大切な「発音の練習」は、はじめに期間を決めて、繰り返しトレーニングすることが大切です。

ついつい単語の暗記や文法に目が行きがちですが、苦手分野になりやすい発音を早くマスターできれば、その後、実際に中国人とコミュニケーションをとる際の心の壁がぐっと低くなります。

記事をお読みいただきありがとうございました。

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この記事のポイント
  • 母音の発音は舌や唇の動きと合わせて覚えよう
  • 口の形、息の使い方など、まずは頭で理解して、繰り返し練習しよう
  • 手鏡やICレコーダーで、口の動きと自分の発音を徹底チェックしよう
  • 動画で口の動きと発音を同時に勉強しよう

 

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