中国語で「はい」「そうです」など、同意や賛同の意志を表すとき、また「そうですね」など相づちを打つときなども、ともに「是 (shì シー)」が使われます。
このほかにも、ある部分を強調して伝えるときなど、「是」は多くのシーンで登場します。
単純な単語だとあなどるなかれ。そのニュアンスまで理解し、「使いこなせる」ようになると、表現の幅がぐっと広がるのです。
広州に来て間もなく丸3年を迎える私(フルーエント中国語学院現役中国語トレーナーS.N:HSK6級取得済)も、この「是」を使わない日など、もちろんありません。ある時は「え!そうなの~!!」といったおどろきの気持ちを表現でき、ある時は「まぁ、そういうことだったのねぇ」と納得の意を表現できます。
大活躍の「是」のおかげで、中国人の方とより「スムーズなやりとり」をすることができています。
「是」は、中国語を使いこなすための超重要ワード。「是」をマスターできれば、中国語でいろいろな表現ができる、ということなのです!
この記事では、私が日々よく使う「是」の使い方を紹介しています。ぜひマスターして中国語のコミュニケーションの幅を広げましょう。
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1. 中国語「是(shì )」の発音とよく使う文法6パターン
日本人が「是」について学ぶとき、主に悩むポイントは、その発音と使い方です。
ここではまず「是」の発音について詳しく解説したあと、よく使う6つの表現を見ていきましょう。
日本人が苦手な「反り舌」音の出し方に注目しよう
<よく使う「是」の6つの表現とは?>
①「〜は〜である」の肯定文
②「〜は〜ではない」の否定文
③「〜は〜ですか?」の疑問文
④「そうそう」や「そうなの?」の相づち
⑤「そうです!」など同意や賛同
⑥「〜なんだけど」の譲歩
1-1. 是 (shì)の正しい発音方法
| shì 是 シー |
是の発音は「反り舌音」と呼ばれる、日本人が苦手とする発音のひとつです。発音方法は、舌先を上顎にくっつかない程度に近づけて、舌と顎の間から空気を出すように「シ」の音を出します。日本人からすると「シ」と「ス」が合わさったような発音になります。
CDなどの教材を使って繰り返し耳で聞くだけでなく、youtubeや動画などで口の動かし方や唇の形を確認しながら発音を真似てみましょう。
こちらの動画では、「shi」をはじめ、「zhi」、「chi」の反り舌音の発音方法を詳しくご説明しています。
『中国語の発音|子音を効率よく覚えるコツ・練習法・教材まとめ』
発音を効率的に勉強する方法はこちらの記事をご参照ください。
『中国語の発音基礎|効果的なトレーニング方法|動画・音声付』
1-2. 「是(不是)」の基本文型:肯定文・否定文・疑問文
是を使った文型を解説していきます。まずは「是(shì シー)」の基本、名詞と名詞を結びつけ、主語と述語がイコールの関係で結ぶ肯定文から。
続いて、「是」の前に「不 (bù ブー)」を入れる否定文、文末に「吗」をつける疑問文を紹介します。
| 肯定文の場合 「〜は〜である」 |
| 彼は日本人です。 Tā shì Rìběn rén 他是日本人。 ターシーリ゛ーベンレン |
| 否定文の場合 「〜は〜ではない」 |
| 彼は日本人ではありません。 Tā búshì Rìběn rén 他不是日本人。 ターブーシーリ゛ーベンレン |
| 疑問文の場合 「〜は〜ですか?」 |
| 彼は日本人ですか? Tā shì Rìběn rén ma 他是日本人吗? ターシーリ゛ーベンレンマー |
1-3. 「是」を使ったその他の疑問文
「是不是(shì bushì シーブーシー)」の形で、質問や確認をするときに使用できます。
例えば、「你是日本人,是不是?(Nǐ shì rìběn rén shìbushì)」は、「あなたは日本人ですよね?」という意味になります。この言い方は、現地でもひじょうによく耳にする言い方のひとつ。中国人とのやりとりの際には、ぜひ積極的に使ってみてください。より自然なやりとりができます。
| あなたは大学生ですよね? Nǐ shì dàxuéshēng shì bushì 你是大学生, 是不是? ニー シー ダー シュェ シォン シー ブー シー |
これに対して、「はい」と回答するときは「是(shì シー)」、「いいえ」と回答するときは「不是(búshì ブーシー)」で答えます。
1-4. 相づちを打つとき

相づちは、会話を円滑に進めるために必要不可欠なもの。驚いたときなど、「ほんとに?」「そうなの?」と相づちを打つときは「是吗?(Shì ma シーマー)」を使います。
文末の「?」を取り、語尾を下げて軽く「是吗」だけで発音すると、「そうなんだ」というニュアンスでも使用することが可能です。
例文で確認してみてください。
| A | 私の父は歌手です。 Wǒ de fùqin shì gēshǒu 我的父亲是歌手。 ウォ デェァ フー チン シー グェァ ショウ |
| B | そうなの? Shì ma 是吗? シーマー |
『【発音付】中国語相づち表現26選 これだけ覚えれば完璧!』
1-5. 同意や賛同するとき
同意を示す最も簡単な表現は、「是(shì シー)」「是的(shì de シーデァ)」をよく使います。他には「就是(jiùshì ジゥシー)」など、上の二つよりも強い同意を込めた表現もあります。
「是的」は「そうです(Yes)」で、「就是」は「もちろん!」というニュアンスです。「就是」は「是的」よりも強い同意を表すことができます。同意を表すこれらの表現は相づちとしても使われるので、状況に合わせて使い分けてみましょう!
1-6. 譲歩するとき
「~なんだけど」といった譲歩を示したいときは「是(shì シー)」の前後に同じ言葉を繰り返すことで表現できます。
「良いのは良いのだけれど…」は「好是好(Hǎo shì hǎo ハオシーハオ)」といったような感じですね。
| この服はいいことはいいが、少し高い。 Zhè yīfu hǎo shì hǎo dànshì yǒudiǎnr guì 这衣服好是好,但是有点儿贵。 ヂァイーフー ハオシーハオ ダンシー ヨウディェンァー グゥイ |
この時、前後に入る単語は、形容詞または動詞です。
例えば、「美是美(měi shì měi メイシーメイ)」=「美しいことは美しいのだけど」
| この部屋は美しいことは美しいのだけど、冷たい感じがする。 Zhè fángjiān měi shì měi, dànshì gǎnjué lěng 这房间美是美,但是感觉冷。 ヂァファンジィェンメイシ-メイダンシーガンジュェラン |
また、「吃是吃(chī shì chī チーシーチー)」=「食べることは食べるんだけど」など。
| 食べることは食べるけど、もうお腹いっぱいだよ。 Wǒ chī shì chī, kěshì yǐjīng chī bǎole 我吃是吃,可是已经吃饱了。 ウォチーシーチークァシーイージンチーバオラ |
どんどん使ってみましょう!
2. 中国語「是」: 3つの重要構文
「是 (shì シー)」の発音方法、基礎的な使い方は理解できましたか?ここからは「是 (shì シー)」を使った重要構文を3つご紹介していきます。どれも役立つ構文なので、使い方を覚えてしまいましょう。
①強調構文:「是~的」
②理由の説明:「之所以…是因为…」
③冗語法(AはA,BはB):「A是A, B是B」
2-1. 強調構文:「是~的」
まず、ある部分にスポットを当てて述べる「強調」の表現について。例えばこんな会話を思い浮かべてみてください。
| A「いつ、日本に着いたの?」 B「昨日来たんだよ」 |
このように、AさんはBさんが日本に着いたことは知っています。
そこで、Bさんは昨日着いたことを、強調して言いたいという場合。中国語では「是~的(shì…de シーデァ)」、「是」と「的」の間に「昨天」を挟むことで強調表現が可能です。
| 昨日着いたんだよ。 Wǒ shì zuótiān lái de 我是昨天来的。 ウォ シー ズォティェン ライ デァ |
すでに行ったことに対して「誰が・いつ・どこで・どのように・なぜ」行ったのかを強調して伝えたいとき、この構文を使うことで正しいニュアンスが伝わります。
2-2. 理由の説明:「之所以…是因为…」
理由を説明したいときには「之所以…是因为…(zhī suǒyǐ shìyīnwèi ジースォイー シーインウェイ)」と表します。
| 私は心配させたくないので、あなたには言いませんでした。 Wǒ zhī suǒyǐ méi gàosu nǐ shì yīn wèi bùxiǎng ràng nǐ dānxīn 我之所以没告诉你,是因为不想让你担心。 ウォ ヂースォイー メイ ガオスー ニー シー インウェイ ブーシィァン ラン ニー ダンシン |
となります。「所以」というのは日本語で「ゆえん」と読みますね。日本語と中国語は、やはり同じ漢字文化。読み方こそ違えど、日本語でも、中国語と同じ漢字で同じ意味を表すものがあります。
2-3. 冗語法(AはA,BはB):「A是A, B是B」
よく「うちはうち、よそはよそ」といったような言葉を耳にします。これは「うちとよそは同じではない」ということ示しています。
これと同じ表現を、中国語では「A是A , B是B」として表します。
| 言うこととやることが別々である。 Shuō shì shuō zuò shì zuò 说是说,做是做。 シュォ シー シュォ ズゥォ シー ズゥォ |
例文での「说」は「言う」、「做」は「する・行う」という意味ですが、例文を日本語にすると「言うことは言うこと、やることはやること」となります。
これをもう少し変えると「言うこととやることが別々である」という意味になります。有言実行できていない、ということですね。
他には「我是我、你是你(Wǒ shì wǒ nǐ shì nǐ ウォーシーウォー ニーシーニー)」。これは「私はわたし、あなたはあなた」となります。
| 私はわたし、あなたはあなた。 Wǒ shì wǒ nǐ shì nǐ 我是我,你是你。 ウォー シー ウォー ニー シー ニー |
3. 中国語で「是」を使うときの3つの注意点

「是」を正しく使うためには注意点がいくつかあります。
2.英語のbe動詞のように使えない場合がある
3.”是”は省略される場合がある
では詳しくみていきましょう。
3-1. 名詞と形容詞を結びつけない
「是 (shì シー)」の使い方で注意すべきポイント1つ目。1-2でも説明しましたが「是」で結べるのは名詞同士、つまり「是」の前後に来る単語はともに名詞ということです。
つまり、名詞と形容詞などは結べないということです。
通常、単純に「あなたは美しい」と言いたいときに「你是很漂亮」とはなりません。
形容詞と名詞を結びたいときは「是」は付けずに言いましょう。
| あなたは美しい。 Nǐ hěn piàoliang 你很漂亮。 ニー ヘン ピィァオ リィァン |
3-2. 英語のbe動詞のように使えない場合がある
今まで「是 (shì シー)」を、英語でいうところの「be動詞」のように紹介してきましたが、もちろん、全く同じものとして考えることはできません。
例えば「ソファの上に猫がいる」と言いたいとき、英語では「There’s a cat on the sofa.」ですね。存在を表すときはbe動詞を使いますが、中国語ではこの例文の場合「有 (yǒu ヨウ)」を使用します。
| ソファの上に猫がいる。 Zài shāfā shàng yǒu māo 在沙发上有猫。 ザイ シャ ファ シャン ヨウ マオ |
となります。中国語は猫が「有る」とみるわけです。これは日本語の並びと一致しているので、理解しやすいところでしょう。
3-3.「是」が省略されることがある
最後に「是 (shì シー)」の省略についてです。「是」は様々な場面で省略可能です。「是」が省略される使い方を3種類に分けて説明します。
① 目的語によって省略可能
イコール関係で結ぶとき「是」を使いましたが、特定の目的語では「是」が省略される場合があります。その目的語は「日付・曜日・年齢・出身地・天候・値段」などです。例文を見ていきましょう。
| 明日は金曜日です。 Míngtiān xīngqīwǔ 明天星期五。 ミンティェン シンチーウー |
ここで注意して欲しいのは、否定文の時は省略できないということです。つまり「明日は金曜日ではありません」と言いたいときは、1-2で紹介した基本文型の否定文と同じように「明天不是星期五」としなくてはいけないということです。
② 述語が形容詞なら是を使わない
中国語では形容詞がそのまま述語になります。英語の「be動詞」のように、主語と述語(形容詞)の間に、「是 (shì シー)」を入れる必要は、基本的にはありません。
be動詞がなくとも、主語の後に形容詞を直接置くことで、【形容詞述語文】を作ることができます。注意点は、形容詞が述語になる場合は、程度を表す副詞(很など)と組み合わせるということです。
(3-1.名詞と形容詞を結びつけない 参照)
③ 強調構文「是~的」の是は省略可能
通常、動詞を使った文章に「是」は使われませんが、強調構文の場合では「是」は動詞とともに現れることも当然あります。
| 彼の妹は昨日やってきたんだ。 Tā mèimei shì zuó tiān lái de 她妹妹是昨天来的。 ターメイメイシーズゥォティェンライデァ |
| Tā mèimei zuó tiān lái de 她妹妹昨天来的。 ターメイメイズゥォティェンライデァ |
|
※「是」が動詞「来」とともに使われる。 また、この強調構文の際、「是」は省略ができますが、文末の「的」は省略できません。 |
3-3-4. 「是」と「対」の違い
中国語において「是」と「対」の使い分けはとてもややこしいものです。どちらも、日本語で「はい」を意味しますが、「対」のほうは、例えば先生が生徒と話すときに使う、という風に、目上の人が目下の人に対して使うニュアンスを持ち、「是的」は誰もが使える丁寧な表現になります。
また「是的」の方はイエスかノーの質問に対して答えるときに使い、「対」は「その通り」「間違いない」と確信を持って「はい」と言えるときに使われます。相づちや同意の際に、立場によって使い分けることが必要です。
「是」をマスターして中国語の幅を広げよう
「是(shì シー)」の基本的な使い方と発音のポイントを紹介しました。重要な構文を構成する要素であり、また相づちとしても使えたりと、多様な使い方がありましたね。「是」の表現は日常会話で頻出です。今回学んだ知識を、ぜひ実際のコミュニケーションの場でも試しに使ってみてくださいね。
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